ヤクルト・石川雅規、20年目の「1勝」 勝利の女神が微笑んだ【夢追うツバメたち】

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2021年06月05日 06:14  ベースボールキング

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ベースボールキング

西武戦に先発したヤクルト・石川
◆ 第18回:20年連続勝利の左腕

 「今日の1勝は一番思いがある1勝なのかなと思います」。プロ20年目。入団以来、20年連続で勝ち星を積み上げてきたヤクルトの石川雅規にとっても、格別の「1勝」となった。

 6月4日、西武戦で今季初めて神宮球場のマウンドに立った。4月16日の阪神戦(甲子園)以来の一軍の舞台で「久々の一軍マウンドでいろいろな思いと、良い緊張感の中でマウンドに上がれた」と振り返った。

 雨の中「目の前のバッターひとりひとりという気持ち」で西武打線を抑え込んだ石川。試合は5回降雨コールドゲーム。5回3安打1失点で今季1勝目を飾り、球団記録を更新する41歳4カ月での白星。勝利の女神は「小さな大エース」に微笑んだ。

 開幕は初めて二軍スタートとなった。それでも「一軍で投げたい、一軍で勝ちたい」という思いで自身を奮い立たせた。「ファームでいろいろなことを考え、いろいろ試行錯誤しながら」の1勝に、感慨もひとしおだった。

 この日は投打でチームに流れを呼び込んだ。走者を二塁に送るための3度の打席では、犠打をすべて1球目で成功させた。勢いに乗った打線は3回で10点を奪い、石川に通算174勝目をプレゼントした。

 入団から20年連続の勝利は、大卒では史上初の快挙となった。

 「ひとりでは勝てる数字ではないので、何とか目の前の1勝を勝ち取るんだという思いでやってきた。それが20年という年数になりましたけど、僕にとってすごく大きな1勝になったと思います」

 20年間、毎年勝ち続けてきた左腕は「1勝」の重みを十分に理解している。

 「僕にとっても家族にとっても、ものすごく大きな1勝だと思う」。その「1勝」を陰で支えてくれた家族に、石川は感謝の思いを述べた。


◆ 若手とベテランの融合で新たな力が
 
  セ・リーグで上位争いを繰り広げるチームにとって、41歳のベテラン左腕がもたらした勝利は大きい。

 高津臣吾監督は「今もこうやって勝てるピッチングができる石川はすごいなと思いました」と称え、「チームのことを思いながら、勝てる投球を続けていってほしいなと思います」と、今後も期待を寄せた。

 交流戦はここまで5勝5敗と勝率5割のヤクルト。交流戦での勝敗がリーグ戦の順位に大きな影響を及ぼすことになるだけに、気を緩めることはできない。

 チームは投打ともに若手の活躍が目立ち始めている。今後はベテランとの融合で、また新たな力が生まれそうな予感がする。

 打撃陣では39歳の青木宣親が調子を上げてきた。5月26日の日本ハム戦(神宮)で日米通算2500安打を達成した男は、この日の試合で2試合連続となる2号2ランをライトのポール際へ放つなど、交流戦は9試合を戦って打率.379、2本塁打、8打点と好調だ。

 また、ファームではともに36歳の坂口智隆と雄平のベテラン2人が、一軍昇格を目指して奮闘している。その必死な姿を目の当たりにしてきた石川は、2人を「勇気づけられるようなプレーをしたい」と話し、実績のある2人の復活にも今後期待がかかる。

 ここまでツバメ投手陣を支えてきた左腕にとって、通算「200勝」という数字も近づいてくる。

 昨季「1つ勝たないと2つ目がない」と話し、節目の記録よりもまず目の前の「1勝」をつかみ取るために腕を振ってきた石川。

 石川が挙げたこの日の「1勝」は、今季を振り返ったときチームにとって大きな分岐点となっているかもしれない。


取材・文=別府勉(べっぷ・つとむ)

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  • 背は小さいけどスポーツに打ち込み、中にはプロの世界を夢見てる子もいるだろう。そんな子たちの励みにもなるだろな。
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