チキンラーメン、配色パクられ悩んだ過去も…日清食品法務部が語る「色彩商標登録」への道

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2022年04月20日 10:11  弁護士ドットコム

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インスタントラーメン「チキンラーメン」のパッケージデザイン(セピア、白、オレンジのストライプ)が今年3月、「色彩商標」(色彩のみからなる商標)として登録された。


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2015年の制度変更によってうまれた色彩商標は、「トンボ鉛筆の消しゴム」や「セブン・イレブンの店舗看板」などに続き、チキンラーメンのパッケージが登録9件目となる。



出願にあたり、日清食品ホールディングスが実施した調査では、パッケージの配色を見た消費者の80%以上が、それだけでチキンラーメンと認識したという。



1958年誕生の「国民食」でさえ、登録には3年半もの時間がかかっている。認められるまでの経緯を同社法務部の担当者に聞いた。(編集部・塚田賢慎)



●80%以上の人が3色の配色を見て「チキンラーメンだ!」

——色彩商標の登録はいつから目指しましたか



「発売60周年にあたる2018年に出願しました。



『消費者の皆様からこんなにも親しまれているブランド』ということを、色彩商標の登録を通じてオフィシャルに認めてもらおうとの狙いがありました」





——登録にあたって実施した「配色の認知率調査」の結果は?



「今回のアンケート調査では、この色彩商標をご覧になった80%以上の方々に『これはチキンラーメンだ』と認識していただきました」



——模倣品の使用差し止めなどの請求が可能となりました。商品を守るという観点での登録の狙いは



「過去、チキンラーメンのパッケージの配色がチラシのデザインとして第三者に無断で使用されたこともありました。このような行為は、チキンラーメンのブランド価値を毀損することにもなりかねず、常々頭を悩ませていました。



今回、チキンラーメンの色彩商標が消費者の皆様に広く受け入れられていると認められた上で登録されたことは、模倣品対策の観点からも意義が大きいと考えています」





●昔の資料は「白黒」で証拠にならない…色彩商標ならではの苦労

——調査・出願における苦労を教えてください



「著名性の立証のために、非常に多くの証拠資料を提出しました。大量の資料を収集することが大変なのはもちろん、古い資料はデータベース化されていないものも多く、紙の資料から目視で情報を探し出す作業はさらに大変でした。



社内に保管されていたチキンラーメン発売時の資料は、時代が時代ゆえ、新聞記事なども含めて“白黒”のものが大半です。色彩商標の証拠として“白黒”の資料を提出するわけにはいきませんので、証拠資料として採用を諦めたものが数多くあったことは、色彩商標ならではの苦労だと思います。



登録までには、2度の『拒絶理由』と2度の『審査官通知』に応答しています」



歴代のパッケージ 上段左から1967年・1971年・1983年・1991年 下段左から2003年・2008年・2010年・現在



——先に登録された8件の事例を参考にしましたか



「先行事例において、色彩商標が使用されているのが商品なのかサービスなのか、その商品やサービスが世の中でどのように使われてきたかなどによって、主張すべきポイントは異なってくると思います。



ですので、特定のケースがそのまま参考になることはないと考えています。ただ、一般論として、提出すべき証拠の量などについては、先行する出願を参考にしました」





——次の色彩商標登録を狙う日清食品の商品はありますか



「現時点で、具体的にお答えできることはございませんが、『商標』が果たす役割は、ビジネスありきだと考えています。今回のケースのように、広く認知されるブランドや商品を作り続けていきたいと思います」


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  • 既に某近隣国には普通に有りそうだ。以前輸入食品店でバイトした時に日本製品にそっくりな某国製品を多く見たが、意外と日本人客にも好評な物も有った。
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