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やがてユウスケのお相手、藤崎マイさんが私たちの家に挨拶に来ました。いかにもお嬢様といった雰囲気で穏やかそうなマイさん。優しく笑顔を向けるユウスケ。私たちも心から祝福しました。そして結婚の話はとんとん拍子に進み……。
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両家の顔合わせの日がやってきました。ふと思い出し、私はユウスケに問いかけます。「そういえば、あちらのご両親はあなたの奨学金のことは知っているの?」ユウスケはマイさんのご両親に挨拶に行って、すでに何度かお会いしています。「ご両親に直接話したことはないけれど……」
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「マイには話しているから、マイから伝わっているんじゃないかな……?」となんだかあやふやな答えをするユウスケ。しかし奨学金の返還を抱えていることは、新婚夫婦の家計にも影響すること。お相手のご両親にもちゃんと伝えておかなくてはいけないでしょう。「お金のことだし、しっかり顔合わせのときに話しておきましょう」「そうだな」夫も同意し、ユウスケも「わかった」と言ってくれました。
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マイさんのご両親も穏やかで優しそうな方々でした。「ふつつかな娘ですが、何卒よろしくお願い致します」「こちらこそ、どうぞよろしくお願い致します」おたがいに深々と頭を下げ、レストランでの両家顔合わせは和やかな雰囲気です。
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そして頃合いを見計らい、夫が奨学金の話を切り出しました。「あの、藤崎さん。もしかしたらすでに聞いていらっしゃるかもしれませんが……」「父さん、俺が話すよ」ユウスケがそれを制します。きちんと自分の口から伝えたいと言い、話しはじめました。
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「あの、実は僕、奨学金を借りて大学へ進学して、返還はまだ終わっていないんです。でも、これからも仕事頑張って給料を上げていきますし、繰り上げできるようにますます精進していこうと思っています。マイさんには迷惑はかけないので、どうぞよろしくお願いします」するとその瞬間、マイさんのご両親の顔色が変わりました。
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私たち夫婦もそろって頭を下げます。「すみません……。我々の不徳の致すところで……」マイさんは了承済みで、ユウスケの返済を支えてくれるつもりのようです。
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「……ちなみに、残りの金額は?」マイさんのお父さんが確かめるように聞きます。「……あと数百万は……」ユウスケが言いづらそうに答えると、マイさんのお父さんは明らかに落胆していました。その気まずい空気をフォローするように、すかさずマイさんのお母さんがユウスケを褒めてみせます。
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そうして両家の顔合わせは終了しました。ユウスケに奨学金を背負わせてしまったことは申し訳ないと思っています。ただ当時のわが家の家計では、生活費の仕送りで精一杯。都会でひとり暮らしをしながら私立大学に通うような費用までは用意できなかったのです。しかし奨学金の返還が残っていることをマイさんのご両親に話したとき、一気に空気が変わってしまって……。私は何やら不穏な気配を感じていたのでした。
【第3話】へ続く。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・猫田カヨ 編集・井伊テレ子
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