誰にでも優しかった義母の他界は、私たち家族にとって辛いできごとでした。そして私はまだ結婚して間もない頃のことを思い出します。義実家を訪れたとき、私に向かって義父がしきりに「ん」と繰り返していました。湯呑をアゴで指していたのです。
その日は義母の顔を立て、それ以上何も言い返しませんでした。しかし私は義父のことが本当に許せなかったのです。別の日には食事中、私に向かって「オイ!」と指図した義父。食卓にある醤油を私に取らせたかったようですが……。
はじめて義父の態度に接したとき、「こんな人がいるんだ」と衝撃を受けました。私は昔から曲がったことがあまり好きではなかったため、義父と顔を合わせるたびに幾度となくぶつかってきたのです。そういう意味では、もしかしたら義父と私は似た者同士なのかもしれません。
ずっと義父と会わずにいた私ですが、優しい義母とは良好な関係を築けていたと思っています。しかし義母が亡くなってしまい、あの頑固で口の悪い義父だけが残されてしまったのです。まさか老後は私たちをあてにしているとか、ないよね……? そんな一抹の不安が私に押し寄せてきたのでした。
|
|
原案・ママスタコミュニティ 脚本・渡辺多絵 作画・猫田カヨ 編集・井伊テレ子