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印字された「A駅」の文字を見つめながら、私にはふと思い当たることがありました。高校時代トシキはよく、男女5〜6人くらいのグループで過ごしていました。そのうちのひとり、マリエがA駅付近に住んでいるのです。マリエは高校時代、ずっとトシキのそばにベッタリくっついていました。当時の私は、2人が付き合っているのだろうと思っていたくらいです。
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トシキにとってはただの友達のひとりだったかもしれないけれど、はたから見ればマリエがトシキに恋をしているのは一目瞭然でした。
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トシキは笑いながら否定していましたが、高校時代のマリエはどう考えてもトシキのことが好きだったようにしか思えないのです。だから数年前に「今度マリエが結婚するんだって」と聞かされたとき、どこかホッとしている自分がいました。ただトシキは結婚後も変わらず友人のひとりとしてマリエとの交流を続けています。今日の慌てたトシキの様子には、おそらくマリエが関わっている……。私はそう直感したのです。
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高校時代のマリエはおそらくトシキのことが好きでした。ただトシキは私と結婚しましたし、大人になってからはマリエがどう思っていたのかは分かりません。そんなマリエも数年前に10才年上の旦那さんと結婚したという話は聞いていたのですが……。私に嘘をついてまでマリエに会いに行っていたトシキ。その事実をごまかそうとした時点でやましい気持ちがあったことは確実ではないでしょうか? 私はしっかりとその理由を聞きたいと思っています。
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【第3話】へ続く。
原案・編集部 脚本・渡辺多絵 作画・りますけ 編集・井伊テレ子