名画のひみつがぜんぶわかる! すごすぎる絵画の図鑑 第9回 あの画家も描いていた! ついだまされるトリックアートの極意

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2024年06月04日 07:40  マイナビニュース

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なぜ西洋画にはヌードが多いの? ピカソって本当に絵がうまい?……そんな絵画の疑問、ありませんか? 名画がなぜ名画なのかよくわからない、という人も多いでしょう。1年に300件以上の美術展に足を運んでレビューを発信する著者が「名画のひみつ」を解き明かし、おもしろくてためになる絵画の知識を解説する『名画のひみつがぜんぶわかる! すごすぎる絵画の図鑑』(KADOKAWA)より、一部を再編集してご紹介します。



今回のテーマは『トリックアート』。

○どこまでが絵なの? ついだまされるトリックアート



絵画の中でも独特なのがトリックアート。ドアを開けようとしたら、壁に描かれた絵だった、みたいな絵のこと。



ポンペイ遺跡にも見られるほど古くからあり、さまざまなタイプがあります。たとえば、建物にレリーフ(浮彫)を刻んだように見える絵を描いたり、天井画を平面で描きながら、遠近感を付けて立体的に見せたりするなど。建築やインテリアでさかんに取り入れられてきました。



名画の中にも、巧みな「だまし絵」がいくつもあります。レンブラント『カーテンのある聖家族』では、絵の周りの額縁やカーテンも描き込まれていますが、一見、絵の外にあるように見える仕掛けです。ちなみに、当時は埃除けとして絵の前にカーテンをかけ、開け閉めしていました。



ここには紹介していませんが、だまし絵作家として有名なマウリッツ・エッシャーは、だまし絵にとどまらない魅力的な作品を多く残しているほか、日本でも鈴木其一の「描表装」というだまし絵があります。

○■絵の外にあると思いきや…


子どもを抱く母親やそばに猫の姿が描かれています。ですが、その外側にある額縁や、手前にあるカーテンレールとカーテンまでも、じつは絵で描かれたもの。これもだまし絵の一つです。

○■顔のつくりをよく見てみたら……


人間の顔ですが、不思議な線がたくさん描かれています。よく見ると、人間の身体をたくさん組み合わせて描かれている! 手や指先も同様で、見るほどに不思議な作品です

○【豆知識】



レンブラント、エッシャーはともにオランダ出身の画家です。フェルメールも同じようなカーテンを用いただまし絵的な作品を描き、またワルラン・ヴァイヤンは手紙をモチーフとしただまし絵を描きました。



次回のテーマは「それが理由!? 西洋画にヌードが多い本当のワケ」です。お楽しみに!



⇒この連載の一覧はこちら


○『名画のひみつがぜんぶわかる! すごすぎる絵画の図鑑』(KADOKAWA)

著者:青い日記帳 監修:川瀬佑介


「モナ・リザの絵はなぜあんなに有名なの?」「ピカソって本当に絵がうまい?」――そんな“絵画の疑問”、ありませんか? 国内外の美術展の詳細なレビューで圧倒的な支持を誇る著者が、 『モナ・リザ』からバンクシーまで、「名画がなぜ名画と呼ばれるのか」を解き明かす。絵画にまつわるおもしろくてためになる知識を解説する同書は、 AMAZONで好評発売中です。


青い日記帳 監修:川瀬佑介 【著者:青い日記帳】Tak(たけ)の愛称でブログ「青い日記帳」を主宰。1年に300以上の展覧会に足を運んでレビューを行うほか、美術の本質を見極めながら、広くて深くてしなやかな美術鑑賞法発信。「敷居の高かった美術鑑賞が身近になった」「絵の見方がわかるようになった」などと好評を得ている。著書に『いちばんやさしい美術鑑賞 』『 失われたアートの謎を 解く』(ともに筑摩書房)、『カフェのある美術館』(世界文化社)、『美術展の手帖』(小学館)、『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)がある。 【監修:川瀬佑介】国立西洋美術館主任研究員。専門は17世紀を中心とするスペイン・イタリア美術史。企画した展覧会に『カラヴァッジョ』展、『スペインのイメージ:版画を通じて写し伝わるすがた』展など、著書に『マンガで教養 はじめての洋絵画』(朝日新聞出版)などがある。 この著者の記事一覧はこちら(青い日記帳 監修:川瀬佑介)
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