2017年5月に北九州市小倉北区のアパート「中村荘」が全焼し、入居する男性6人が死亡した火災で、福岡県警は26日、元住人の井上浩二容疑者(56)=別の放火事件などで服役中=を現住建造物等放火と住居侵入の容疑で逮捕した。調べに対し「そのようなことはやっていません」と容疑を否認しているという。県警は同日、小倉北署に捜査本部を設置した。
逮捕容疑は17年5月7日午後11時10分ごろ、小倉北区清水2の木造2階建てアパート「中村荘」に侵入し、何らかの方法で火を付けて全焼させたとしている。
県警などによると、出火当時、中村荘には入居者16人のうち14人がおり、そのうち55〜84歳の男性6人が焼死した他、男性5人がやけどなど重軽傷を負った。出火元は1階北東部の通路とみられるが、北九州市消防局は出火原因について当時、「特定できなかった」としていた。
中村荘は日雇い労働者らが簡易宿泊所代わりに短期入居するケースが多く、井上容疑者も16年6〜7月ごろ、一時的に入居していたという。
県警は付近の防犯カメラ70台以上から映像を集め、解析を進めた。その結果、井上容疑者に特徴が似た人物が原付きバイクで訪れ、アパート玄関に進む様子などが映っていたという。映像でたどる「リレー捜査」により、その人物が、井上容疑者の当時の自宅と中村荘とを往復する姿も確認。県警は映像を基に複数の専門家から意見を聴くなどして放火事件と断定。地元住民ら延べ600人以上からも話を集め、井上容疑者の逮捕に踏み切った。
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井上容疑者は中村荘での火災の8日後、ガスバーナーのようなもので北九州市八幡東区の交番で駐車中のバイクに火を付けたなどとして、非現住建造物等放火容疑などで逮捕、起訴された。22年3月に福岡高裁で懲役6年の実刑判決が言い渡されて確定し、服役していた。【河慧琳、井土映美】
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