事件多発の今こそ知りたい! これが「強盗に狙われやすい家」だ!

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2024年11月06日 06:50  週プレNEWS

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被害に遭わないための対策は? マンションでも危険って本当? もし家屋に侵入されたらどうすればいい?

今、首都圏を中心に強盗事件が頻発している。「うちは大丈夫」と安心しているとひどい目に遭うかもしれない。では強盗犯はどんな家を狙うのか。どんな対策をすれば大丈夫なのか。防犯の専門家に聞いた!

【画像】被害に遭わないための対策は?

■情報が合っているか強盗犯は下調べする

今年8月以降、首都圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)で、すでに14件以上の強盗事件が発生している。

また、10月には山口県で強盗目的で集合していた3人の中高生が逮捕された。今後、全国的な広がりを見せるかもしれない。

では、こうした強盗事件に巻き込まれないためにはどうすればいいのか。強盗に狙われやすい家とはどんな家なのか? 元警視庁公安部捜査官で、セキュリティコンサルタントの松丸俊彦(まつまる・としひこ)氏に聞いた。

――強盗犯はどのように入る家を選んでいるんですか?

松丸 犯人たちは、必ず下調べをします。これは"トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ。SNSを通じて募集する闇バイトなど緩やかな結びつきで離合集散を繰り返す集団)"などの強盗犯だけでなく、空き巣犯も同じです。

下調べは現場に行くのが基本です。狙う家の状況を確認したり、業者を装って訪問したりします。

実はすでに"闇名簿"というものが出回っていて、この闇名簿が下調べによってどんどん更新されていくんです。

例えば「インターホンを押しても留守だった」とか「『はい』と返事があったけれども話を聞いてくれなかった」。逆に「ドアを開けて家の中に入れてくれた」「家の中の間取りはこうだった」などが書き込まれていきます。

ほかにも「軽自動車とワゴン車が止まっていたから2世帯住宅かもしれない」「隣の家と密接していて犯行時に声や音が聞こえるかもしれない」などもあります。

しかし、やはり犯人が一番見たいのは家の中です。家の中の構造や、金品などがどこに隠されていそうなのかを知りたいのです。

ですから、屋根の修理や電気業者などを装って訪問します。「お宅の家は築年数が古そうなので、電気周りが悪くなっているんじゃないですか。確認してみましょうか」などと言って家の中に入ってこようとします。そこで、自分が呼んだ業者でなければ、絶対に家の中に入れないでください。

――玄関で対応するのもダメなんですか?

松丸 ドアを開けたということが重要で、その時点で防犯意識が低い家だとわかります。また、玄関に入れば靴や傘の数で家族構成などもわかります。

そもそも迷惑メールが送られてきたり、知らないところから電話がかかってきたり、いろいろなところから個人情報は漏れているので、闇名簿に載らないということは無理なんです。ですから、自分の家の情報が更新されないことが重要になります。

例えば「インターホンを押しても取り合ってくれなかった」「電話をしてもすぐに切られた」という対応をしていると「ここは防犯意識の高い家だ」ということで犯人はリストから外していくんです。

逆に防犯意識の低い対応をしていくと最終的にターゲットにされてしまいます。

――じゃあ、インターホンで業者が訪問してきたら、「ポストにチラシを入れておいてください」みたいな感じで断ればいいですね。

松丸 いや、「うちは必要ありません」とハッキリ断ってください。「ポストに入れといてください」と言うと、数日後に「この間入れたチラシ見てもらえましたか?」とまた訪問されます。「今、忙しいんです」も「じゃあ、何時頃は大丈夫ですか?」となる。関係が継続するような断り方はダメです。そこで関係が切れるようにしてください。

――家に訪問されることはなくても、外見などからわかる「狙われやすい家」はあるんですか?

松丸 はい。例えば「奥まった場所にある家」や「庭に樹木がたくさん生えている家」「塀などで囲まれていて中の様子が見えない家」は狙われやすいです。一度、敷地に入ってしまえば、人目につかず潜むことができるので犯行がやりやすくなります。

また、幹線道路がそばを通っていたり、線路が近くにあったり、近所で工事をしている場所なども犯行時の音がかき消されるのであまり良くありません。

ほかに洗濯物などを外から見える場所に干している家も注意が必要です。洗濯物から女性のひとり暮らしなのか、高齢者夫婦が住んでいるのかなどがわかります。ですから、そういった人は洗濯物を干すときに若い男性ものの服も一緒に交ぜておいたほうがいいでしょう。

強盗犯などは闇名簿の情報が合っているかなども含めて下調べに来るので、「闇名簿には老夫婦と書いてあったけど、洗濯物を見たら若い男の服がある。最近一緒に住み始めたのかな。これは情報漏れだ。この家はやめておこう」と判断するかもしれません。

■防犯対策は、まず窓ガラスを強固に!

――「洗濯物に男ものを交ぜる」のように自分たちでできる対策はありますか?

松丸 空き巣の侵入経路で一番多いのは「窓ガラスを割って入る」で、次が「無締まり」。鍵の締め忘れなどです。また、強盗犯は窓ガラスを壊して入ってくることが多いです。

ですから、空き巣も強盗も入ろうとする家の窓ガラスの防犯対策が強固だとやりにくい。それで犯行を諦めてくれると助かるので、まずは窓ガラスを防犯ガラスにするとか、窓に防犯フィルムを貼るなどの対策がオススメです。

警察庁の発表によると、家の侵入に5分以上かかると約7割の犯人が侵入を諦めてしまうそうです。また、犯人は音が出るのも嫌いますから、防犯フィルムを貼ることで時間を稼ぐと同時に割るための音が出るので効果的です。

さらに窓が二重ロックになっていると防犯効果がより高まります。窓を割るとガラスの破片が残っているので、そのままくぐるとケガをしやすい。そのため窓を開けて家の中に侵入します。しかし、二重ロックになっていれば、その窓枠が開きません。

玄関ドアも同様に鍵をふたつつけたり、ドアガードを設置すると効果があります。

それから、家の周辺をきれいにしておくことも重要です。家の周辺が雑然としていると下調べの段階で「この家は防犯意識が低い」と判断されます。だから、そこに何か置かれても気づかないでしょう。

例えば、昼間のうちに足場になりえる箱のようなものを犯人が置いておく場合があります。そして、夜中にそれを足場として侵入してくる。

しかし、整然としていれば管理が行き届いているということで、普段置いていないものが置かれていれば、不審物だとすぐ気がつきますよね。

――一軒家ではなく、マンションなら安全ですか。

松丸 今はたまたまトクリュウなどの連続強盗犯がマンションを狙っていないだけです。オートロックだから安心だと思っていると、業者について一緒に入ってきた犯人にやられることがあります。

「うちはタワマンの上層階だから大丈夫だろう」と思っていても、実際に屋上からベランダに下りて侵入されたというケースもありました。マンションだから安心とは、絶対に思わないでください。

――では、もし強盗に入られてしまったら、どうすればいいのでしょうか?

松丸 まず、窓が割られたり、ガシャガシャと玄関のドアを開ける音がして、今、まさに侵入が始まっている段階の場合、もし勝手口から逃げられる余裕があれば外に逃げてください。

次に、逃げる余裕はないけれども、まだ犯人と対面していない場合は、携帯電話を持って寝室などに逃げ込んで鍵をかけます。

その逃げている間に警察に連絡をするか、寝室でひっそりと110番通報します。警察の通信指令室には携帯電話の番号しか表示されませんから、「千代田区神田神保町○丁目△番□号の○○です。強盗です。助けてください」と言って、つなぎっぱなしにします。

日本の警察は110番通報から平均約8分で現場に到着しますから、その8分間なんとか持ちこたえるのです。

鍵をかけて寝室に潜んでいると強盗がやって来て「おい、出てこい!」などと言って、ドアをガチャガチャやるでしょう。それでも出ていかなければ、「こいつはほっておいて、金目のものだけ持っていくぞ」と逃げてくれればひと安心です。

ですから、寝室などは二重ロックにして、扉を頑丈なものに替えておけるならば、それがベストです。こうした危険なときに逃げ込める部屋を「パニックルーム」と呼びます。海外などではパニックルームを造っている家も多いです。

そして、もし寝室の扉を破壊されて中に入ってきたら、絶対に抵抗しないでください。犯人が「金はどこにある?」「カードの暗証番号を教えろ」と言ってきたら、絶対に嘘はつかないでください。

嘘をつくと、暴行されたり殺されたりします。これは海外では常識です。旅行者などが誘拐されて犯人グループと一緒にATMに行って、限度額まで全部お金を下ろさせる犯罪がよくありますが、この場合、嘘をつくと危害に遭うのです。

犯人は犯罪がスムーズにいくことが重要です。人生をかけた計画を邪魔しないことが重要です。お金を渡した後に絶対に殺されないという保証はありませんが、犯人は殺人をすれば罪が重くなることもわかっているのです。

素直にお金を渡して、早く解放してもらうことを最優先してください。

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頻発している強盗事件。まずは、狙われない家にするための対策が急務のようだ。

取材・文/村上隆保 イラスト/はまちゃん

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