「細胞たちに心からありがとうって言いたくなるような作品です」芦田愛菜『はたらく細胞』【インタビュー】

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2024年12月12日 07:10  エンタメOVO

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芦田愛菜(C)エンタメOVO

 人間の体内の細胞たちを擬人化した斬新な設定で話題を集め、テレビアニメ化もされた同名漫画を実写映画化した『はたらく細胞』が12月13日から全国公開される。原作漫画とスピンオフ漫画を基に、ある人間親子の体内世界で働く細胞たちの活躍と、その親子を中心とする人間世界のドラマを並行して描く本作で、人間親子の娘・日胡を演じた芦田愛菜に話を聞いた。




−原作コミックやアニメのことは知っていましたか。今回の脚本を最初に読んだ印象はどんな感じでしたか。

 アニメで見たことがありました。高校の生物の時間で、免疫系の勉強をしていたので、脚本を読んでいると、なじみのある名前の細胞たちもたくさん出てきましたが、そのままというか、ぴったりだと思いました。この作品がすごく好きなので、人間役ですが参加させていただけることをすごくうれしく思ったのと、人間のパートは原作では描かれていない部分だったので、皆さんにどんなふうに受けとめていただけるのかは少し不安な部分ではあったんですけど、人間のパートが入ることで、自分の体の中もこうなっているのかもしれないと身近に感じていただけたらいいなと思いながら脚本を読ませていただきました。

−実際に演じてみてどんな感じでしたか。

 私は人間のパートだったので、細胞のパートの撮影の雰囲気を見ていなかったのですが、完成した映画を見てすごく面白かったですし、こんなふうになっているんだという驚きがたくさんありました。

−演じた日胡と芦田さんとの共通点、相違点は。

 やっぱり年も近いですし、共通点はたくさんあるというか、本当に等身大の1人の女の子というのが日胡ちゃんだと思いました。相違点というか、日胡ちゃんがすごいなと思ったのは、すごく強い女の子だというところです。お父さんと2人暮らしで、お父さんを支えたいという思いから、毎日お弁当を作ってあげたりする姿もすてきだと思いますし、本当に心が強いというか、芯が強い女の子なんだなと。そこがかっこいいと思います。

−自分の体のために何か気を付けていることはありますか。

 この映画を通して、本当に自分の体のことを考えるようになりました。自分の体の中の細胞たちが、毎日こんなに頑張ってくれているんだというのを知って、ちょっとぶつけたりしただけでも「ごめんね」と思うようになったりとか、もっといたわってあげなきゃという気持ちが強くなりました。私は結構冷え性なので、あまり体を冷やさないように、足首を温めたりとか、半身浴とか、ちゃんと毎日お風呂で湯船に漬かるようにして、体を温めたりしています。

−人間パートを演じる上で、何か気を付けたことや心掛けたことがあれば。

 今回はちょっと特殊な役というか、細胞たちがこういうふうになっているから、外の世界はきっとこんな感じなのかなとか、中から外をイメージする部分が少しあって、それが新鮮で不思議な感覚だったんですけど、(武内英樹)監督からも「細胞たちが今こんなに頑張ってくれているからね」とイメージしやすいようにたくさん説明をしていただいたりしました。中から外を考えるようなアプローチでした。

−体の中の細胞を想像しながら、自分は人間として演じる部分で、苦労したところはありましたか。

 細胞たちが感情を持っていることによって、逆にイメージしやすいところがありました。「こうやって毎日赤血球さんが頑張って酸素を運んでくれているんだ」とか、「白血球さんが頑張って戦ってくれている」とか、そんなふうに、細胞が人間としての感情を持っているからこそ、イメージしやすかったかもしれないです。

−父親役の阿部サダヲさんと憧れの先輩役の加藤清史郎さんとの共演はいかがでしたか。

 阿部さんとは久しぶりにお会いしたんですけど、本当の親子のように安心感のある雰囲気を作っていただいて、私の演技を引き出していただきました。清史郎くんとはドラマ「最高の教師」で共演した時は敵対する役でしたが、今回は恋人同士で…。だから「ちょっと面白いね」なんて話をしたりして、和気あいあいの感じで撮影をしました。

−武内監督の印象は?

 先に細胞パートを撮影されていたので、「細胞たちはこんなふうになっていたんだよ」とか、「このシーンはこういう風に撮影して、こんな感じでみんな頑張って体の中で戦ってくれていたんだよ」なんて話をしてくださったので、演じる時にとてもイメージがしやすかったです。監督の別の作品も本当に面白くて、大好きなものがたくさんあります。今回は『はたらく細胞』という作品自体もすごく好きだったので、その中の一員になれることがうれしかったですし、監督と一緒に演技をさせていただけるのも楽しかったです。

−自分が病気になる役についてどう感じましたか。

 そういう役を演じているので、そのことについてはそんなに抵抗はありませんでした。むしろ自分は、見てくださる皆さんが感情移入しやすいような形がいいと思うタイプなんですけども、一緒に試写を見てくださった周りのスタッフさんとかマネジャーさんが「悲しくなる部分があった」と、すごく感情移入してくださったのがうれしかったです。

−体内パートとは別撮りだったと思いますが、体内パートをやってみたかったと思いましたか。

 参加させていただけたら楽しそうだなという気持ちはありました。少しうらやましかったです。

−やってみたい役はありましたか。

 皆さん本当に役にぴったりだったので…。でもマクロファージ先生(松本若菜)がすごくかっこいいなと思っていて。細胞の役割としても、ある時は殺し屋だったり、ある時は清掃員だったり、またある時は学校の先生だったりと、いろんな面を持っていて、すごくかっこいいキャラクターなので憧れます。

−完成作を見た感想を。

 細胞パートが、アクションシーンもたくさんあって自分が想像していた100倍すごかったです。もちろんいろいろとイメージしながら演技をしたんですけど、日胡ちゃんの体内が予想以上に、こんなに大変なことになっていたんだというのが衝撃的でした。でも、本当に笑いあり涙ありでとても面白くて。最後の方の日胡ちゃんのせりふにもあるように、本当に細胞たちに心からありがとうって言いたくなるような作品だと感じました。細胞たちがいつもこんなに頑張ってくれていることを知って、細胞たちへの感謝の気持ちでいっぱいになりました。見てくださる皆さんも、そんなふうに感じていただけたらうれしいです。

−最後に、映画の見どころや芦田さんからのメッセージを。

 本当に学びながら見ることができるというか、学んでいればいるほど、本当にぴったりで、びっくりさせられるんです。こんなふうに体の中で起こることを面白おかしく、でもきちんと描いている点がすごくすてきだなと思いますし、アクションシーンもたくさんあって大迫力です。ちょっと風邪を引いたり、どこかにぶつけてしまったら、細胞たちに「ごめんね」って気持ちになったりするので、皆さんにもそんなふうに思っていただけたらと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)


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