前回からの続き。私(ユウコ)は、夫と2人の子どもとの4人暮らしです。もともとは専業主婦で家事・育児を担っていました。子どもたちの手が離れるタイミングで再就職し、今ではフルタイムで働いています。夫のマモルはとても優しい人で、いつも私に寄り添ってくれていました。そんな夫が「大学に行きたい」と言ってきたのです。まだまだ子どもに教育費がかかります。本来であれば反対する案件なのかもしれません。でも私は「いいんじゃない?」と言って、納得して夫を送り出したのでした。
心身ともに疲れてしまった私は、結局仕事を辞めることになり、家から出ることも難しくなってしまいました。
マモルは毎日私の元へ訪れてくれました。私が元気になるまで、ずっと寄り添ってくれていたのです。
少しずつ心が回復してきた私でしたが、再び働けるようになるまでにはなかなかならず。
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そんなときマモルが……私にプロポーズしてくれたのです。働くことができない自分を責め、自分の居場所がないと思っていた私に居場所を与えてくれたマモル。結婚式の代わりにウェディング写真を撮り、私はマモルのために家庭に入ることにしたのです。
あのとき、マモルがいてくれなかったら今ごろどうなっていたんだろう……。
そんなことを考えると恐ろしくなるほど、あの頃の私は絶望的な状況でした。
大学進学を視野にいれていたマモルは、私のためにその夢を一度封印してくれたのです。
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そんな風に思っていました。
社会復帰をして、しっかりと稼げるようになったら、今度は私がマモルに恩返しをしよう。
ずっとそう思い続けていたのです。
【第6話】へ続く。
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