東京女子医大の資金を不正に支出したとして元理事長岩本絹子容疑者(78)が逮捕された事件で、岩本容疑者の側近の女(52)が1級建築士の男(68)に対し、大学から振り込まれた資金を還流させるため、受け取り場所をメールで伝えていたことが14日、捜査関係者への取材で分かった。
警視庁捜査2課は複数回にわたって2人がやりとりしたメールを押収。側近は受け取った金を全額、岩本容疑者に渡していたといい、同課は同容疑者が側近に指示し、現金で計数千万円を受け取らせていたとみて資金の流れを調べる。
捜査関係者によると、側近は建築士に対し、大学の資金を還流させるため、現金の受け取り場所をメールで伝達。建築士は建築アドバイザー報酬として大学から口座に振り込まれた金額の一部を自身の取り分とし、残りを現金で引き出し、指定された場所で手渡していたとみられる。
側近は岩本容疑者の産婦人科医院の元職員で、同大では同容疑者直轄の部署「経営統括部」幹部を務めるなど重用されていた。建築士への報酬の支出に関する大学の稟議(りんぎ)にも関与。複数の大学関係者は取材に対し、「(側近は)岩本容疑者の指示がないと動かない」などと証言した。
岩本容疑者は2018年7月〜20年2月、新校舎建設を巡り、実態のない建築アドバイザーの報酬名目などで、21回にわたり、大学から建築士に計約1億1700万円を振り込ませ、同大に損害を与えたとして、13日に背任容疑で逮捕された。
同庁は建築士と側近についても、立件に向けて任意で捜査している。