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昨年12月23日から29日までに全国の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、1医療機関あたり64.39人。統計を取り始めた’99年以降で最多となった。
これを受け、入院先が見つからない“救急困難事例”も各地で急増。報道によると、名古屋市では12月の救急出動件数が過去最多の1万6千79件に。仙台市内でも1月6〜12日に236件の救急困難事例が発生し、コロナ禍を上回った。
いまなお感染症予防が引き続き求められるなか参考にしたいのが、日々最前線で患者の対応にあたっている医師たちの対策術だ。
「基本的な対策を徹底することです。公共交通機関や人混みではマスクを着用し、こまめに手洗いと手指消毒を。洗っていない手で鼻や口を触るのはNG。ウイルスを取り込んでしまいます」(公平病院<埼玉県戸田市>の院長・公平誠さん)
葛西病院の院長を務める小林正宜さんは、「自宅の加湿は欠かさない」という。
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「室内を加湿すると、飛散したウイルスの寿命が短くなります。湿度が約40〜60%であればウイルスの生存率が大幅に減少することがわかっています」
ひなた在宅クリニック山王(東京都)の院長・田代和馬さんは睡眠と食事を挙げる。
「私自身、睡眠不足が続くと感染しやすくなります。なので、最低6時間以上の睡眠をとるようにしています。栄養の摂取も不可欠。また、口の中の粘膜が荒れると感染しやすいので、こまめな水分補給も心がけています」
田代さんが指摘する“口腔ケア”も重要な感染対策のひとつだ。
「口からウイルスが入っても、口腔内が健康な状態であれば感染リスクを抑えることができます」
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そう解説するのは、歯科医で歯学博士の照山裕子さん。口の中の汚れはウイルスの侵入につながる。
「歯周病菌が持つ酵素の働きによって喉の粘膜が傷つけられ、そこからウイルスが入ります。口の細菌数が多い、すなわち不潔であればあるほど、インフルエンザが重症化しやすいこともわかっています」
日々の歯磨きに加え、照山さんが推奨するのが、“毒出しうがい”。
「少量の水で、ぶくぶくと音が出るほど速く力強くゆすぎ、常に清潔な口を保つ心がけを」
歯に水を強くぶつけるように、口を動かしてゆすいでみよう。
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「帰宅後すぐにガラガラとうがいをする方が多いですが、入り口に汚れが付着している状態で喉のうがいをするのは本末転倒です。まず口の中をゆすぐようにしましょう」(前出・照山さん)
毒出しうがいで口をきれいにしてから、ガラガラうがいをしよう。
「高速でゆすぐ習慣は口のまわりの筋肉を鍛える効果もあります。口呼吸を改善し、鼻で呼吸することは健康の要です」(前出・照山さん)
舌の汚れを落とすことも重要だ。
「白っぽい舌の汚れは細菌の塊(バイオフィルム)です。舌専用のブラシや口腔ジェルなどを使って、やさしく汚れを浮かして落とすようにしましょう」(前出・照山さん)
ゆっくり時間がとれる夜は「ながら歯磨きがおすすめ」というのは中川駅前歯科クリニックの院長・二宮威重さん。
「洗面台の前で歯磨きすると、冬は寒いので適当に終えてしまいがち。それでは十分に汚れがとれないので、湯船につかりながらの“ながら歯磨き”を推奨しています。
丁寧な歯磨きと歯科衛生士による定期的なクリーニングを受けることで、インフルエンザの発症率が10分の1に減ったという研究データもあるほどです」
医師の予防術を習慣にして、感染リスクを遠ざけよう。
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