<卓球:全日本選手権シングルス>◇26日◇最終日◇東京体育館◇男子決勝
男子で24年パリ五輪補欠の松島輝空(そら、17=木下グループ)が初優勝を飾った。
準決勝で張本智和(智和企画)、決勝で篠塚大登(愛知工大)と五輪代表2人を4−1で連破した。張本、水谷隼に次ぐ若さの日本一で28年ロサンゼルス五輪へ弾みをつけた。女子は早田ひな(日本生命)が史上6人目の3連覇。史上最年少Vを狙った16歳の張本美和(木下グループ)を退け、世界選手権(5月、ドーハ)出場権を得た。
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ぼくとつとした17歳は、優勝会見の終盤に笑わせた。「心の中ではうれしいです」。松島が表情では伝わりづらい感情を言葉にした。前回王者の張本に立ち向かった準決勝。国際大会ではダブルスを組む先輩を1球目から声を出す気迫で驚かせ、得意のバックはもちろん、好調なフォアハンド、多彩なサーブもさえた。篠塚との決勝も第4ゲーム(G)を落としながら、第5Gの2−2から8連続得点。強気の攻めを貫いた。
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「自分がパリ五輪に出られなかった悔しさもあったので、いつか倒したいと思っていた。全日本の大舞台で勝てて、うれしいです」
1年前、6回戦で篠塚に3−4と競り負けた。直接対決に敗れたことも、五輪団体メンバーからの落選につながった。日本協会からは補欠を打診され「行きたくない」と首を横に振った。両親や周囲の説得でパリ行きを決めたが、飛行機の座席から正代表との違いをかみしめ、悔しさが増した。連日のサポートを終え、帰国後最初のLINEで母由美さん(44)に「次は選手として行くから。待っておいて」と伝えた。独特の雰囲気を味わった経験よりも悔しさが勝り、公の場でも「(補欠で)2度と行きたくない」と言い切った。
覚悟は五輪後の厳しい練習の踏ん張りに生きた。五輪金メダル6個の馬龍(中国)に憧れるホープの夢は初の日本一で終わらない。
「昔から夢にしている五輪金メダルは、今でも変わらない。『ロスに自分がシングルスで出る』という気持ちを持って、今後、頑張っていきたいと思います」
全日本王者は、堂々と未来を切り開く。【松本航】
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◆松島輝空(まつしま・そら)2007年(平19)4月29日、京都市生まれ。0歳から卓球に触れ、3歳から本格的に競技を開始。18年に11歳でワールドツアー初出場。21年世界ユース選手権3冠。24年世界選手権団体代表。父卓司さん、母由美さんはともに元卓球選手。次男翔空(とあ)長女美空(みく)次女愛空(あいら)も卓球をしており、美空は史上最年少の9歳でTリーグデビュー。左利き。172センチ。血液型B。
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