JR長野駅前で男女3人が殺傷された事件は、防犯カメラなどの映像をつないで容疑者の足取りをたどる「リレー捜査」が逮捕の決め手となった。長野県警の吉池正人捜査1課長は逮捕後の記者会見で「一番は防犯カメラ。『リレー捜査』が重要な役割を果たした。多くの情報提供もあり、本当に感謝している」と述べた。
捜査関係者によると、事件発生当初、防犯カメラ映像や目撃情報などから、容疑者は長野駅の西側に逃走したとみられた。だが足取りは駅周辺で途絶え、県警は広範囲の防犯カメラ映像を収集し、分析を進めた。
併せて、容疑者の画像を2度にわたって公開。2度目の画像は駅利用者から提供された写真で、より鮮明に容疑者が映り込んでいた。県警の専用フリーダイヤルには「似ている人を見た」「知り合いに似ている人がいる」といった情報が、逮捕前日の25日までに326件寄せられた。こうした情報も活用しながら県警は防犯カメラ映像をつないでいき、駅から東に約3キロ離れた容疑者の居住地域を絞り込んだという。
防犯カメラやドライブレコーダーの普及、スマートフォンカメラの高性能化などに伴い、捜査現場では画像データの活用が進んでいる。2024年12月に北九州市のファストフード店で中学3年の男女2人が殺傷された事件でも「リレー捜査」が容疑者の逮捕につながった。【鈴木英世】