和歌山市で2年前、選挙演説に訪れた岸田文雄前首相らにパイプ爆弾を投げつけたとして、殺人未遂など五つの罪に問われた木村隆二被告(25)の裁判員裁判で、懲役10年を言い渡した19日の和歌山地裁判決は「注目を集めるためにあえて現職の首相を狙い、爆発を企てたのは軽視できない。社会全体に不安を与えた」と述べた。
検察側は懲役15年を求刑したのに対し、弁護側は傷害罪にとどまるとして懲役3年が妥当だと訴えていた。被告は選挙制度に不満を持って民事裁判を起こしたが、注目されなかったため、事件に及んだと述べていた。
福島恵子裁判長は人の身体に危害を加える目的で爆弾を製造し、殺意もあったと認定した。現場から60メートル先のコンテナに破片が突き刺さっていたことなどを踏まえると、殺傷能力があったとし、「爆発物の基本的な仕組みを理解していた被告は被害を容易に想像できた」と述べた。
そのうえで大勢がいる中で爆弾を投げ込むことにより、「人の頭などに命中する可能性が高いと認識していたと考えられる。安全だと思っていたとは到底考えられない」と指摘した。
判決によると、被告は2023年4月15日午前11時25分ごろ、和歌山市の雑賀崎(さいかざき)漁港で、衆院和歌山1区補選の演説に訪れた岸田氏らに向け、黒色火薬を詰め込んだ爆弾を投げつけて演説会を妨害し、聴衆の男性ら2人に軽傷を負わせたとされる。岸田氏は逃げて無事だった。【藤木俊治、安西李姫、駒木智一】
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