岸田文雄前首相襲撃事件の公判で判決を聞く木村隆二被告(手前)=19日、和歌山地裁(イラスト・松元悠氏) 岸田文雄前首相襲撃事件で、殺意を認定し懲役10年の実刑を言い渡した19日の和歌山地裁判決。一貫して殺意を否定してきた木村隆二被告(25)は、終始落ち着いた様子で前方を見つめていた。
午前11時ごろ、黒の上下に青いサンダルを着用し、眼鏡姿で入廷した木村被告。背筋を伸ばし、落ち着いた様子でじっと主文言い渡しを待った。
満席に近い傍聴席が静まり返る中、福島恵子裁判長に促され、証言台の前の椅子に着席。主文に続き、理由が読み上げられると、木村被告は前を向いたまま聞き入った。
「(被告が)爆発物が安全であると思ったとは到底考えられない」「(退避可能で危険はないと思っていたという)弁解も採用できない」。否定し続けていた殺意が認定された場面でも、微動だにしなかった。
約15分にわたった言い渡しが終わると、立ち上がって裁判長に向かって一礼。その後、弁護士と少し言葉を交わし、視線をやや下に向けながら法廷を後にした。
地裁によると、45席ある一般傍聴席の抽選には、109人が並んだ。大阪市から来た大学生杉野隼也さん(19)は「選挙中の事件で、世間に衝撃を与えた大きな事件。自分の目で判決を確かめたかった」と険しい顔をしながら話した。

岸田文雄前首相襲撃事件判決の傍聴券を求めて和歌山地裁前に並ぶ人たち=19日午前、和歌山市