鬼怒川氾濫訴訟 2審も国に賠償命令、賠償額は減額 東京高裁

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2025年02月26日 19:00  毎日新聞

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大雨の影響で鬼怒川(右)の堤防が決壊し、流れこんだ濁流にのまれた茨城県常総市の住宅街=2015年9月10日午後1時24分、本社ヘリから

 2015年の関東・東北豪雨で鬼怒川が氾濫したのは、国の河川管理に不備があったからだとして、茨城県常総市の住民らが国に総額約2億2200万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(中村也寸志裁判長)は26日、約2850万円の賠償を命じた。1審・水戸地裁判決(22年7月)から損害額の算定を見直し、約1000万円賠償額を減らした。


 判決によると、常総市では、豪雨の際に太陽光発電業者によって砂丘が掘削された場所で鬼怒川が氾濫したほか、堤防が決壊して、住民らが家屋や家財道具に浸水被害を受けた。


 高裁はまず、被害が出た鬼怒川の堤防整備では、砂丘が堤防の役割を果たしていることを前提にしていたと指摘した。その上で、堤防がない地域では砂丘の機能を維持する必要があったのに、国が開発を制限できる「河川区域」に指定しなかったと認定。業者が砂丘を掘削したことで、砂丘の周辺地区は安全ではない状態になったとし、1審に続いて国の河川管理の不備を認めた。賠償額は、住民側が受けた被害の立証が不十分だとして減額した。


 訴訟では、堤防が決壊して浸水被害が発生した別の地区の住民も「河川の改修計画が不合理だったため、堤防整備を後回しにされた」と訴えていた。しかし、高裁は、改修計画の前提となる河川に関する国の安全評価の方法には十分な合理性があると言及。別地区での国の賠償責任は認めなかった。【菅野蘭】



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