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北海道・知床半島沖で起きた観光船「KAZU �機淵�ズワン）」沈没事故で、乗客の遺族ら29人が運航会社「知床遊覧船」と桂田精一社長（61）に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が13日、札幌地裁で開かれ、遺族11人が意見陳述する。原告たちはそれぞれの家族への思いを抱きながら、桂田社長の責任を問うために法廷に立つ。
「息子が小学5年生になっていたら、友達と思い出を作ったり好きな人ができたり、いろんな経験をしたんだろうな」
道内に住む男性は、カズワンに乗り行方不明になった長男（当時7歳）の誕生日を祝い、思いをはせた。
1月生まれの長男は、電車が好きなのんびり屋。誕生日にはしゃぐ姿を思い出しながら、イチゴやキウイがのったフルーツタルトをいつもの店で買った。
付属のろうそくの数にはっとした。「ああ、もう10本か」
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勉強机の上で1本ずつ火を付けると、変わらない笑顔の写真が照らされた。いとしさと同時に、心が粉々になるような悲しみがこみ上げた。
本当は今も、事故のことは思い出したくない。
だが、裁判の原告になると決めた時、法廷で意見陳述をしたいと自ら申し出た。公の場での説明を避け続けている桂田社長に、自分の言葉で伝えたいことがあるからだ。
「自分たちは大切な人がいなくなって人生が一変した。なのに社長は被害者に向き合わず、変わらず家族と暮らしている。その不誠実な姿勢に何重にも傷つけられた。もう逃げるのは許せない」【後藤佳怜】
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