【プロ野球】緒方孝市がセ・リーグの順位を予想 チーム力が増して上位にきそうなチームは?

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2025年03月27日 10:21  webスポルティーバ

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緒方孝市インタビュー 

セ・リーグ順位予想

 昨季は巨人が4年ぶりのリーグ優勝を果たしたセ・リーグ。シーズン終盤まで大混戦となったが、今季はどのような展開になるのか。広島で選手、監督など指導者としても活躍した緒方孝市氏に、セ・リーグの順位予想を聞いた。

【1位予想:巨人】

――巨人を1位に予想した理由から聞かせてください。

緒方孝市(以下:緒方) 甲斐拓也が加わってウイークポイントだったキャッチャーが盤石になりましたし、大勢というすばらしいクローザーがいながら、球界ナンバーワンのクローザーであるライデル・マルティネスを獲得しました。菅野智之が抜けた穴や、主力野手の年齢が高くなってきていること、主力と控えの差があるなど不安要素もありますが、阿部慎之助監督の采配や選手起用を含めたチームとしての総合力が高い印象です。

 結局、監督がどういった野球をするかが大事なんです。昨季の厳しい後半戦を勝ち切った采配・選手起用は見事でしたし、二軍でしっかり監督経験を積んでいたことが生きたと思います。それはソフトバンクの小久保裕紀監督にも同じことが言えますね。

――今季も勝負どころでの采配が光りそうですか?

緒方 そうですね。中継ぎの思い切った起用法は元キャッチャーならではだと思います。また、頼りたい坂本勇人のコンディションが悪かったり、野手陣の調子が上がらず苦しい時に浅野翔吾を起用したことも当たりましたね。そういったところが、昨季の勝因だと思います。

――4番の岡本和真選手の後を打つバッターがカギになりそうでしょうか。

緒方 どのチームもそうなのですが、結局は岡本のような絶対的なバッターの次がポイントになるんです。特に岡本は、絶好調の時は手がつけられないほどのバッターなので、バッテリーは勝負を避けます。新外国人のトレイ・キャベッジが5番を担うのかはわかりませんが、バッティングが柔らかく、遠くに飛ばす能力も感じるのでどれだけ日本の野球に対応できるかですね。彼に限らず5番が機能すれば、相当強力な打線に仕上がると思います。

【2位予想:広島】

――古巣の広島は2位と予想されました。

緒方 オープン戦で新外国人のエレウリス・モンテロとサンドロ・ファビアンが戦力として期待できることを証明しましたし、二俣翔一や田村俊介、林晃汰ら若手が内容のいいバッティングを見せてくれました。ドラフト2位の佐藤柳之介(富士大)らルーキーも即戦力の片鱗を見せてチームを底上げしてくれましたし、戦力的にプラスの部分が大きいです。昨季チームの一番の課題であった得点力は改善されるはずですし、セ・リーグの"台風の目"になると思っています。

――攻守の要である坂倉将吾選手の離脱は痛い?

緒方 唯一のマイナス要素を挙げるとすれば、坂倉が開幕メンバーにいないこと。5月の交流戦前くらいの復帰が予想されていますが、それまでの期間を5割前後で乗り切れれば、チームはある程度の形を成して十分に戦っていけると思います。ピッチャー陣は先発、リリーフともに安定していますし、大量点を取られて壊れる試合は年間を通してあまりないんじゃいかと。

――キャッチャーは、ベテランの會澤翼がいることが心強いですね。

緒方 會澤でいくと思いますが、コンディションに多少の不安があるので毎試合マスクをかぶれる状態ではない。2番手キャッチャーに3年目の清水叶人がいますが、経験不足は否めません。ただ、相当に勉強をしていると思いますし、オープン戦を見る限りではキャッチングを含めてリード面も無難にやれています。戦力にならないということはないので、新井貴浩監督も少し勇気がいる決断でしょうが、将来を見据えて起用していくのもいいと思いますよ。

【3位予想:阪神】

――藤川球児新監督を迎えた阪神は、3位予想となりました。

緒方 チームのバランスのよさや野手の脂が一番乗り切っているのが阪神で、野手陣もピッチャー陣も戦力は揃っています。ただ、不安材料をひとつ挙げるなら、野手のレギュラーと控え選手に実力差があること。レギュラーに何らかのアクシデントが発生した場合、そこにポンと当てはめられません。

――昨季もそのような時期がありましたか?

緒方 不振や、ケガをした選手がいた時、近本光司を3番や4番に置いたりしていましたよね。あのような打線の組み方をせざるを得なければ、あの強い阪神でさえ結局シーズンを戦い切れなかったわけです。

 ただ、勝負強い森下翔太がいて、大山悠輔、佐藤輝明で構成するクリーンナップはリーグナンバーワンでしょう。ピッチャー陣もシーズンを戦い抜ける戦力が整っていますし、昨季に不振だった村上頌樹らが復調すれば、十分に優勝争いできるチームだと思います。

【4位予想:DeNA】

――昨季に日本一となったDeNAは4位予想ですが、その理由は?

緒方 昨季は日本一になったものの、リーグ戦では勝率が.507の3位。外国人選手を含めてうまく補強するチームですし、先発ピッチャーに関してはトレバー・バウアーをはじめ、アンドレ・ジャクソンやアンソニー・ケイらの活躍次第で、順位も大きく変わると思います。打線はリーグナンバーワンと言っていい陣容ですが、ピッチャー陣がシーズンを乗り切れるかどうかが懸念点です。どうしても、ひとつ薄いような気がするんです。

――バウアー投手が中4日で回ることで、先発ローテーションの運用が肝になりそうですね。

緒方 日本人投手も含め、先発ピッチャーはやり繰りして回していけると思うのですが、基本的に先発が100球前後で交代すると考えれば、やはり問題は先発が降りた後の組み立てです。リリーフ陣に少々不安がありますから、うまくいくかどうか......。

 ただ、やはり打つほうはいい。梶原昂希や森敬斗、度会隆輝ら今季にブレイクしそうな若い選手がいますし、クリーンナップの破壊力は脅威です。DeNAは外国人の先発ピッチャーの出来が浮沈のカギを握っていると思います。

【5位予想:ヤクルト】

――主力に故障者が多いヤクルトはどう見ていますか?

緒方 オープン戦を見てきた限り、ヤクルトと中日は苦しいんじゃないかなと思います。ましてヤクルトは、村上宗隆、山田哲人、塩見泰隆ら主力に故障者が続出していますしね。

ピッチャー陣を見ても、そこまで改善した部分が見えません。小川泰弘や石川雅規らベテランに頼らざるをえない状況では苦しいですし、開幕投手を務める奥川恭伸もどれくらいの状態なのか、シーズンを通じて投げられるのかが未知数です。

 ただ、こういう状況は、赤羽由紘ら若手野手にとってはチャンス。レギュラーを奪い取る気持ちで頑張ってほしいですね。

【6位予想:中日】

――最下位は中日と予想されました。

緒方 昨季まで立浪和義監督が鍛え上げた選手が力をつけてきていますし、井上一樹監督の1年目で「さぁ、ここから」という気持ちがあると思いますが、やはり抑えのライデル・マルティネスが抜けたことが大きなマイナスです。もちろんマルティネスが抜けてもピッチャー陣は強力なのですが、僅差の試合をしっかりと勝ち切れるのかどうか。そんな試合が昨季よりも大幅に減ってしまうのではないか、と心配になるほど絶対的な存在でしたから。

――打つほうでは、期待していたジェイソン・ボスラー選手や福永裕基選手が開幕前に離脱してしまいました。

緒方 上位打線で考えていた選手たちでしょうし、開幕にいないのは痛いです。昨季は広島と同じように、得点力不足に悩まされていましたからね。ただ、広島の場合は先ほどお話したように、新外国人選手や若手が野手陣を底上げしていてプラス要素がありますし、ピッチャー陣の層も全体的に厚みを増しています。一方で中日は、中継ぎ、抑えの顔ぶれが大きく変わっていませんし、何よりマルティネスが抜けた。そこの部分を今の打線でカバーしていけるのかと考えたときに、ちょっと苦しいのかなという印象です。

>>緒方孝市が今季の広島を分析 ルーキーや新外国人たちへの期待、課題の得点力不足について語る

【プロフィール】

緒方孝市(おがた・こういち)

1968年生まれ、佐賀県鳥栖市出身。1986年に広島東洋カープからドラフト3位で指名され入団。2008年まで主に外野手として活躍し、盗塁王のタイトルを3度、ゴールデングラブ賞を5年連続で受賞した。2009年に現役を引退後、コーチとして後進の指導。2015年に監督に就任すると、2016年から18年にかけてチームを球団史上初の三連覇に導いた。2019年に退任後、野球評論家などで活躍中。

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