写真帝国データバンクは3月31日、4月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについて分析を行い、4,225品目が値上げすると発表した。4,000品目を超えるのは1年6か月ぶり。
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同社が行った「食品主要195社」価格改定動向調査で、2025年4月の飲食料品値上げは、合計4,225品目に。食品分野別では「調味料」(2,034品目)が最多で、「酒類・飲料」(1,222品目)は缶ビール・缶チューハイが一斉に値上げとなり、6か月ぶりに単月あたり1,000品目を超えた。
2025年通年の累計品目数は1万1,707品目となり、前年実績の9割超え。飲食料品における値上げの勢いは、前年に比べて大幅に強まっている。
また、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした4月の飲食料品値上げ4,225品目について、値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均16%となった。単月の値上げ品目数としては、1月以降4か月連続で前年を上回ることに(+1328品目/+45.8%)。そして、値上げのピークを迎えた2023年10月以来、1年6か月ぶりに単月で4,000品目を超えるなど、大規模な値上げラッシュが発生する見通しとなっている。
2025年4月の値上げを食品分野別に集計すると、調理用みそ製品を中心とした「調味料」(2,034品目)が全食品分野で最も多かった。「酒類・飲料」(1,222品目)は、缶ビール・缶チューハイなどの酒類で一斉に価格が引き上げられるほか、コーヒー飲料で値上げ。「加工食品」(659品目)は、ハム・ソーセージ製品や冷凍食品などが多かった。食用油など「原材料」(33品目)を含め、嗜好品や利用頻度の高い飲食料品が主な値上げ対象となった。
値上げ要因では、原材料などモノ由来の値上げが多くを占める一方で、人件費や物流費など「サービス」価格上昇の影響を受けた値上げ要因が拡大。2025年における要因のうち、最も大きいものは「原材料高」(97.8%)となり、要因別の集計を開始した2023年以降で最も高い水準となった。
トラックドライバーの時間外労働規制などが要因となった輸送コストの上昇分を価格に反映する「物流費」由来の値上げは81.8%を占め、前月調査時(80.9%)から割合がより拡大している。「人件費」由来の値上げも45.1%を占め、前月調査時(43.5%)から拡大した。最低賃金の引き上げのほか、人手不足に伴う昇給・賃上げによるコスト増から、価格改定に踏み切るケースが増え始めた。
2025年の値上げトレンドは、人件費や物流費などサービス由来のコスト増を要因とした値上げで拡大傾向が顕著となった。世界的な供給難や円安による原材料・エネルギー価格が中心だった2024年前半に比べ、トレンド変化が鮮明となっている。
前年にみられた急激な為替の変動による値上げは一服傾向にあるものの、天候不順による生育不良や過去の円安による肥料価格の上昇、燃油などのエネルギー、輸送費用といった間接コストが重なり、コメや野菜類をはじめとした国産食材では調達コストの増加が続いている。飲食料品の価格はプラ容器など包装資材を含め、「モノ由来」と「サービス由来」双方の値上げ圧力に晒されており、2025年の値上げ動向は全体的に値上げの動きが低位に抑えられた前年に比べ、少なくとも今夏にかけて断続的な値上げラッシュの発生が見込まれると分析している。
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