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海上をただよう浮き具にしがみつく人、転覆したヘリコプターに残された人。6日午後、長崎・対馬から福岡の病院に患者を搬送するため医師ら計6人が搭乗していたヘリが消息不明となり、捜索の結果、長崎・壱岐島の北東沖で転覆した状態で見つかった。「大事な患者やスタッフが……」。患者を受け入れる予定だった病院の院長は沈痛な表情で語った。
ヘリは対馬市の長崎県対馬病院から福岡市東区の福岡和白病院へ患者を運ぶため、医師や看護師、機長や整備士ら計6人を乗せ、6日午後1時半に対馬空港を飛び立った。福岡和白病院側と無線で連絡を取るなどしていたが、無線は途絶え、到着時間が近づいても連絡はなかった。
国土交通省の担当者も異変に気付いた。まもなく燃料がなくなる時間なのに、到着の連絡がない――。病院側からの通報もあり、午後2時50分ごろから捜索が始まった。第7管区海上保安本部は対策本部を設け、巡視船艇5隻や飛行機2機で海上を捜索した。長崎県対馬病院の事務担当者は「無事を祈るしかない」と話した。
約2時間後、海保の巡視船が転覆しているヘリを見つけた。緊急時に膨らむ機体下のフロート(浮き具)に3人がしがみついているのが確認できた。航空自衛隊の救難ヘリも出動し、転覆したヘリの中を捜索したところ、他の3人を見つけた。6人は午後6時55分過ぎまでに救助された。
ヘリの中で見つかった3人は心肺停止状態だった。全員がヘリで福岡市内のヘリポートまで運ばれ、救急車で福岡和白病院へ相次いで搬送された。「情報が錯綜(さくそう)していて今は対応できない」。病院関係者らはそう話し、慌ただしく院内へ。救急隊員らがブルーシートや毛布で囲う中、ストレッチャーが次々と病院へと入っていった。
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午後8時半、福岡和白病院の富永隆治院長が記者会見を開き、苦悶(くもん)の表情で「大事な患者さん、大事な病院のスタッフ(が巻き込まれ)、今回の事故は悲痛の極みです」。3人が心肺停止の状態で搬送されており、富永院長は「懸命に治療している」と語った。ヘリを所有するエス・ジー・シー佐賀航空(佐賀市)の担当者も同席し「不時着水の可能性がある」と述べた。【志村一也、栗栖由喜、川畑岳志】
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