埼玉・高1殺害　偶然見かけた被害者を襲ったか　接点確認されず

　さいたま市桜区のマンションで住人の高校1年、手柄玲奈（てがられな）さん（15）が刺殺された事件で、殺人容疑で逮捕された谷内寛幸容疑者（24）とみられる人物が、事件の約1時間半前から現場周辺をうろつく姿が防犯カメラに映っていたことが、捜査関係者への取材で判明した。被害者をつけ回すような様子は確認されず、埼玉県警は、偶然見かけた手柄さんを襲った可能性があるとみて調べている。

　関係者によると、谷内容疑者は事件まで桜区内の建設会社で働き、併設された寮で生活していた。とび職人として1月から勤務し、勤務態度も真面目だったという。これまでに2人の接点は確認されておらず、面識はなかったとみられる。

　事件のあった14日は午後2時ごろに仕事が終わり、少なくとも午後5時ごろまでは寮にいて食事も済ませていたという。社長の男性（75）は「こんなことになって裏切られた気持ち。遺族に申し訳ない」と話した。

　手柄さんが被害に遭ったのは午後8時15分ごろ。県警によると、手柄さんは知人と市内の飲食店を訪れた後、帰宅した際にマンション入り口で襲われた。飲食店でも2人が接触した様子はないという。

　現場近くの防犯カメラには、帰宅した手柄さんに続いてマンションに入る不審な人物が映っており、確認を進める。司法解剖の結果、手柄さんの上半身の傷は臓器まで達していた。

　事件後、谷内容疑者は現場から南東に約1キロ離れた交番まで徒歩で移動したとみられ、県警は路上に落ちていた血の付いたリュックサックを押収した。本や筆箱はあったが、携帯電話などは入っておらず、逮捕時に所持品はほぼなかったという。

　現場近くで勤務していたことから、県警は周辺に土地勘があったとみて、詳しい足取りを調べている。

　県警は16日午前、谷内容疑者を送検した。容疑者は黒い服装で捜査車両に乗せられ、前を見据えながら浦和西署を出た。事件については黙秘を続けているという。【田原拓郎、最上和喜、加藤佑輔】