
前回からの続き。私(リサ)は、娘のコハルと2人暮らし。職業は漫画家です。亡き夫も漫画家で、私は元々夫のアシスタントをしていました。夫はそれなりの人気作家で、単行本やキャラクターグッズの売れ行きも好調。とにかく絵を描くことが大好きな夫を、すぐそばで支えることが私の使命でした。しかしコハルが幼い頃に、夫は他界してしまったのです。女手ひとつでコハルを育てるため、私は必死に漫画を描いてきました。そんなコハルも今では大学3年生。順調に青春を謳歌しているようです! 一方で私は、まだコハルに言えていない秘密がありました。そう、実は私の職業はエロ漫画家なのです。コハルに伝えるタイミングを見計らっていたのですが、とうとうバレてしまい「気持ち悪い」と軽蔑されてしまったのでした。


夫が亡くなったとき、私が漫画家を廃業して外に働きに行くという選択肢ももちろんありました。しかし、外で働くとなったとき、私には、万が一のとき頼れる人が近くにいません。
だから……私には、夫のような才能はなかったけれど、在宅でできる、得意な絵を描くことを仕事にすることにしたのです。


私には仕事を選んでいる余裕はなかったのです。その仕事のおかげで、なんとか生活できるくらいの収入を得られるようになった私でしたが、コハルにはこの事実を伝えることはできません。仕事部屋は、背後からパソコンの画面を見られないように、常にドアを向くような体制に机を配置。コハルが入ってきてパソコンを覗いたときは、細々と続けている別の雑誌のイラスト画面に切り替えたりして、なんとかいままで隠し通してきたのです。
|
|

コハルを立派に育てることができるなら、どんなことでもする覚悟でした。
コハルのために働く。自分のプライドとか、世間の目とかそんなものはどうでも良かったのです。
ただコハルが望む道を進むことができるようサポートをしてあげたい。
その一心で大人向けの漫画を描き続けていました。
コハルに嘘をつかなければいけないことについては、心が痛まなかったといえば嘘になります。
|
|
【第5話】へ続く。
原案・ママスタ 脚本・渡辺多絵 作画・善哉あん 編集・石井弥沙