三笠書房「お詫び」も書籍内容変更に言及せず「差別を助長」批判の新刊、読めば「ご理解いただける」誹謗中傷には「法的措置をとる」

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2025年04月19日 07:00  まいどなニュース

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職場の「困った人」をうまく動かす心理術

発達障害者や精神疾患がある人をナマケモノやサルに分類し、「障害者を動物扱い」「差別を助長する」と批判が寄せられている新刊「職場の『困った人』をうまく動かす心理術」の出版元である三笠書房が18日、見解を発表した。「事前告知の限られた情報の中で、ご不快な思いをされた方がいらっしゃった事実について、お詫び申し上げます」と謝罪した一方、書籍内容や発売時期の変更については言及しなかった。

【写真】「ミスしちゃうよ〜」バナナ片手にパソコンを触るサルに描かれたADHD当事者

同書は4月22日に発売が予定されており、ASD(自閉症スペクトラム)はナマケモノ、ADHD(注意欠如・多動症)はサル、トラウマ障害はヒツジなど、発達障害者や精神疾患に苦しむ人が「職場にはびこる『困った人』」として動物イラストで擬人化され、「『戦わずして勝つ』ためのテクニックが満載!」と謳(うた)われている。本の表紙には、スーツ姿の男性に申し訳なさそうにうつむくヒツジや、会社の外壁にぶらさがるナマケモノが描かれている。目次では、自閉症スペクトラムは「すぐにキレる!」「異臭を放ってもおかまいなし」と表現し、ADHDは「机の上はまるでゴミ箱」「同僚の功績を平気で横取り」。トラウマ障害はヒツジで「人の手柄を横取りしてでも評価されたい」「問題が起きたらすべて他人のせい」などと記している。

発達障害や精神疾患がある当事者から「ヘイトをあおる」と抗議の声が上がり、日本自閉症協会は「障害に対する誤解を生み、差別や偏見、分断を助長する」「出版社が適切な対応をされることを期待します」と三笠書房に対応を求める声明を出した。

三笠書房は「本書籍のような事前予告に対するご意見について、当社が見解を述べるべきかについて躊躇しました」「しかし、少なからぬご批判等が存在している現状に鑑み、本書籍の内容を踏まえて以下の所見をお伝えすべきと判断するに至りました」と見解を出すに至った経緯を説明した。

「本書籍の概要」として、「職場や組織に『困った人』が少なからず存在する現実に基づいて執筆されています」とし、「『困った人』をどのように受け止め、どのような姿勢で臨めばトラブルの発生を回避しつつ、当人と上手に付き合うことができるかという点を基本的な視点として、この問題を論じております」と当事者との関わり方について説いた本だと説明した。

また、批判が寄せられている点については「事前予告という手段の制約によって、ご批判等が生じていると思われる」「いずれも本書籍をお読みいただくことによってご理解いただけるものと信じております」と本を読めば理解が進むとした。

発達障害や精神疾患がある人たちをサルやナマケモノ、ヒツジなど動物で分類したことについては、「ビジュアル表現については、ここに至るまでにさまざまな議論がありました」「『困った人』と『困っている人』という対比を人間の表情や姿勢等で表すことには限界があることから、『困った人』を愛らしい動物に置き換えるという表現にしました」と人間では表現に限りがあり、動物に置き換えたと説明した。

また、著者のカウンセラー神田裕子さんの見解も発表され、発達障害者や精神疾患の人を動物にたとえたことについて、「愛おしいもの、ピュアなものの象徴としてとらえており、差別的な意図はまったくありませんでした」と差別意識はなかったとした。

三笠書房は、著者の神田さんの個人情報がSNSでさらされたり、神田さんの家族にも誹謗中傷が寄せられているとして、「到底看過できないことであり、当社としては関係機関と連携し、投稿元のアカウントを特定の上、法的措置をとることにいたしました」と法的措置を執る姿勢を明らかにした。

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  • 書籍の意図は理解できるが、読んだ処で「愛おしいもの、ピュアなもの」の象徴として動物化したという言い分はおそらく理解できないと思う。
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