富士通と理化学研究所が開発した量子コンピューター。前型機の4倍の計算能力を持つ=22日、埼玉県和光市 富士通と理化学研究所は22日、これまでの4倍の計算能力を持つ世界最大級の量子コンピューターを開発したと発表した。富士通によると、情報を扱う基本部品「量子ビット」を256個搭載。6月までに研究機関や企業向けに利用が開始される予定。
量子コンピューターはスーパーコンピューターを上回る計算能力を持つとされるが、実現には計算中のエラーを防ぐために1台当たり数万から100万個ほどの量子ビットが必要になると言われている。このため機械の小型化やエラーの検出方法などで国内外の開発競争が激化しているという。
今回開発された量子コンピューターは、超伝導素材の集積回路をほぼ絶対零度まで冷やす方式で、さらに内部の熱を効率的に逃がすよう機械の設計を工夫。量子ビットを2023年に発表した前型機の64個から256個まで大幅に増やすことに成功した。
富士通と理研は、26年度中に1000個超の量子ビットを搭載した量子コンピューターの開発を目指すとしている。