警視庁本部=東京都千代田区 東京都文京区の東京メトロ南北線東大前駅構内で男子大学生(20)が切り付けられた事件で、逮捕された職業不詳戸田佳孝容疑者(43)がホーム上で大学生を切り付けた後、逃げる大学生を停車中の電車内まで追い掛け襲っていたことが8日、捜査関係者への取材で分かった。
防犯カメラには少なくとも計3回、大学生に包丁を振り下ろす様子が映っていたといい、警視庁本富士署が動機などを調べている。
捜査関係者によると、戸田容疑者はホーム上で、電車に乗ろうとした大学生を後ろから刃体約16センチの包丁で切り付けた。車内に逃げ込んだ大学生を追い掛け、さらに2回ほど包丁を振り下ろした後、向かい側のドア付近で乗客2人に取り押さえられた。30秒ほどの短い時間での襲撃だったという。
大学生は首や額、手の甲に10日間の切り傷を負い、入院した。事件当時は学校帰りだった。
同容疑者は調べに対し、机に突っ伏し、黙秘を続けている。大学生は「同容疑者と面識はない」と話しており、これまでに接点は確認されていない。
また、同容疑者を取り押さえた乗客の1人は、同庁薬物銃器対策課の40代の男性警部補だったことも判明。勤務時間外に偶然、居合わせたという。もう1人のネパール人男性はもみ合いになった際に手の指に軽傷を負った。

留置前診療のため、警視庁本富士署を出る戸田佳孝容疑者(中央)=7日午後、東京都文京区