切り付け事件後、東京メトロ南北線東大前駅で警戒する警察官ら=7日、東京都文京区 東京都文京区の東京メトロ南北線東大前駅で東京大3年の男子学生(20)が切り付けられた事件で、逮捕された自称自営業戸田佳孝容疑者(43)が容疑を認め、「教育虐待を連想しやすいと思い、東大前駅を選んだ」と供述していることが9日、捜査関係者への取材で分かった。
事件を起こした動機については「親からの教育虐待で苦労した。度が過ぎると子どもがぐれると世間に示したかった」という趣旨の話をしているという。警視庁本富士署は同日、殺人未遂と銃刀法違反の容疑で同容疑者を送検し、詳しい状況を調べている。
捜査関係者によると、同容疑者は「東大」の名が付いた駅で襲撃したことに関し、「世間の人たちが教育虐待を連想しやすいと思った」と供述。自身について「中学時代、教育熱心な親のせいで不登校になり、苦労した」とした上で、「東大を目指す教育熱心な親たちに、度が過ぎると子どもがぐれて、私のように罪を犯すと示したかった」と話している。
同駅は、安田講堂や各学部の研究棟がある東大本郷地区キャンパスまで徒歩1分の距離にある。
また、同容疑者が事件当日の7日、自宅のある長野県から上京したとみられることも判明。JR篠ノ井線明科駅(同県安曇野市)からJR中央線高尾駅(八王子市)までの切符を買ったクレジットカードの利用明細を所持していたという。
同署が防犯カメラ映像を調べたところ、同容疑者は同日午後4時すぎから現場近くのスーパーやコンビニに立ち寄り、飲料を買うなどして約2時間にわたり徘徊(はいかい)。同6時25分ごろに東大前駅に入場し、同53分ごろ、ホーム上にいた男子学生を包丁で切り付けた。
男子学生は「同容疑者と面識はない」と説明しており、2人の接点は確認されていない。

送検のため、警視庁本富士署を出る戸田佳孝容疑者(右)=9日午前、東京都文京区