公立小の元教員が見た! 自ら進んで学ぶ子の親が「やっていること」「やっていないこと」

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2025年05月27日 20:50  All About

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「うちの子、どうしてやる気がないの?」そう思う前に。子どもの成長を促すのは、一方的な指示ではなく親の「声かけ」と「見守る」姿勢です。自ら進んで学ぶ子に育てるヒントを紹介します。
「もっと〇〇してみたら?」「○○しなければよかったね」――よかれと思った親からの言葉が、かえって子どものやる気を削いでしまっているとしたら?

子どもの成長において、親の「声かけ」や「関わり方」は、褒め方や叱り方以上に重要な役割を果たします。過干渉にならず、子どもが自分で考え、学び、挑戦する力を育むためには、どのような言葉を選び、どのように子どもと接すればよいのでしょうか。

約20年の公立小学校指導教諭経験と、1万5000人へのアドバイス実績を持つ子ども教育の第一人者、庄子寛之さんの書籍『子ども教育のプロが教える 自分で考えて学ぶ子に育つ声かけの正解』の一部を抜粋・再編集し、「声かけ」というシンプルな方法で、子どもの可能性を最大限に引き出すノウハウをご紹介します。

思うことがあっても言わずに、子どもの行動をよく見る

自分から進んで宿題に取り組む子がいます。親御さんに聞くと、「特に何もしていないです」と言っていました。教師は教えるのが仕事です。「何もしていない」という回答に、とても興味が湧いたのを覚えています。

宿題を自分から進んでできる子には、2つのパターンがあります。

1. 学校から帰ってきたら、すぐに宿題をする
2. 朝の時間を活用して、宿題をする

すでに規則正しい行動パターンがあって、宿題を習慣化できているのです。毎日のルーティンをしっかりと守る。大人でも難しいことを子どもができるのには、理由があります。

とにかく子どもをよく見る

私はこれまで多くの保護者の方々と話してきました。その中で、自ら進んで学ぶ子の親の行動に共通点があることがわかったのです。

「口出しせず、よく見る」

大事なことは、子どもが「どのように時間を使っているのか」をよく見ることです。「宿題をやったの?」とは、言いません。言ってしまうと、子どもは「お父さんお母さんは、宿題をやっていない」と思ってしまうからです。

やるべきことはたった一つ。子どもが何をしているのかを興味をもって見ることです。宿題をやっていないだろうと思ったときは、「宿題をやったの?」ではなく、「今日はどんな楽しいことがあった?」と聞きます。

「サッカーの授業は楽しかったよ。でも、算数の授業が難しかったんだ〜」と話し始めたとします。そのときは、「そうだったんだね。算数の宿題を一緒に手伝おうか?」と声をかけます。

「いいよ。自分で頑張る!」と言えば、そっと見守りましょう。

「手伝ってほしい〜」と言ってきたら、全力でサポートします。あなたがどんなに忙しくても、です。

「そんなこともできないの?」「ちゃんと学校で勉強しているの?」とは、思っても言いません。ぐっと我慢しながら、子どものできているところを見ます。

今はできていないかもしれない。でも、その学年でできていなくても、心配する必要はありません。いつかはできるのです。子どものいいところだけを見ながら、近寄ってきたときにサポートする、それだけです。

無理に近寄ると、いいことはありません。NGワードに気をつけながら話しかけることで、たとえ表情に出さなくても、子どもは「親が自分を見てくれている」と感じ、安心感を覚えます。

親が見守り安心感を与えることに加え、子どもが挑戦する気持ちを失わないための声かけも不可欠です。

親の失敗談が子どもの挑戦を後押しする

子どもが最もやる気を失う言葉があります。

「○○しなければよかったね」

挑戦を全否定するような言葉を使ってはいけません。

「そんな簡単なこともできないの?」
「何度言ったらわかるの!」
「さっき言ったでしょ」

何度言ってもできない我が子を見て、つい言ってしまうものです。私もそうでした。そこで、次の2つのことを心に留めておいてください。

1. いつ子どもが失敗してもいいように心の準備をしておく
2. 失敗は挑戦の上に起きることを自分に言い聞かせる

とはいえ、「失敗したくない。傷つきたくない」と思っている子が多くなっているのが現実です。失敗を恐れず挑戦する子に育つために必要なことは何でしょうか。

失敗の後の声かけが大事

子どもが、家族みんなのことを考えて、晩ご飯をテーブルに運んでいるところを想像してください。不安定で、今にも落としそうです。案の定、こぼしてしまったとします。

「なんでやること、増やすの?」「だから言ったでしょ!」ではなく、「けがはない? 大丈夫?」「運んでくれてありがとう」と言いながら、親が率先して拭きます。

間違っても「もう手伝わなくていい」「あなたがこぼしたんだから、あなたが拭きなさい」などとは絶対に言いません。

今回は失敗してしまいましたが、失敗の後が大事です。失敗は誰でもしますが、その後、その挑戦をしなくなってしまうのか、また挑戦してみたくなるかは、些細な失敗のときの声かけで決まると言っても過言ではないのです。

(本記事は、『自分で考えて学ぶ子に育つ声かけの正解』より一部抜粋、再編集したものです)

庄子寛之 プロフィール

ベネッセ教育総合研究所 教育イノベーションセンター 主席研究員。元公立小学校指導教諭。大学院にて臨床心理学について学び、道徳教育や人を動かす心理を専門とする。「先生の先生」として、ベネッセ教研の最新データを使いながら教育委員会や学校向けに研修を行ったり、保護者や一般向けに子育て講演を行ったりしている。
(文:庄子 寛之)

このニュースに関するつぶやき

  • 騙されるな。子供の性格だそんなの。うちに、やる子とやらない子両方いるから。両方「運んでくれてありがとう」のパターンで育てたのにな。
    • イイネ!1
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