【スノボ】「もうおなかいっぱい」竹内智香「競技人生が楽しくて」来季限りで引退も涙はなし

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2025年05月30日 05:00  日刊スポーツ

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花束を手に写真に納まる竹内(撮影・勝部晃多)

記録と記憶に残る集大成の1年にする。スノーボード女子で14年ソチ五輪銀メダルの竹内智香(41=広島ガス)が29日、都内で会見し、来季限りでの現役引退を表明した。


02年ソルトレークシティー大会から22年北京大会まで日本女子最長の6大会連続で五輪に出場中。26年ミラノ・コルティナ大会へ出場すれば、回数でも夏冬合わせて五輪7度出場の橋本聖子に並ぶ女子最多記録となる。有終の美を飾るべく、レジェンドがラストスパートをかける。


   ◇   ◇   ◇


スノーボード界をけん引してきた第一人者の目に、涙はなかった。1時間弱の会見中、竹内は終始晴れやかな笑みを浮かべていた。「引退というと、寂しいものなのかなと思っていた。でも今、フルコースを何回食べたんだろうって。競技人生が楽しくて、もうおなかいっぱい食べ切ったような気持ち。その思いを伝えられるんだと、今日を迎えることをワクワクしていました」。98年長野五輪を見たことをきっかけに14歳で競技を始めて27年。その歩みを、そっと振り返った。


11年前のソチ五輪パラレル大回転で、日本女子初の表彰台となる銀メダルを獲得。その後は「これが最後」と言い続けてきた。平昌五輪後は2年半、休養。23年の末からは腰痛に悩まされ、昨夏は「痛くて歩くのも厳しい状態だった」という。何度も引き際を考えながらも、走り続けられた原動力は競技への愛だった。


今年1月のW杯で3位。全日本スキー連盟が定める来年の五輪への派遣基準を満たした。「神様が『もう1回オリンピックまで全力で頑張りなさい』と言ってくれているのかな」。抑え切れない情熱が湧き上がった。残り1年限りと設定し来季の現役続行を決めた。


続けるからには、結果を残す覚悟がある。「残り1シーズン、本気で取り組み、勝ちに行きたい。もう1回、競技者として本気で勝ちに行くような取り組みをしたい」。集大成の場に据えたのは、もちろん、あの舞台。自身の日本女子最長を更新する7大会連続となる26年ミラノ・コルティナ五輪だ。22年北京大会を目指した時の「楽しみたい」という気持ちは封印する。「金メダルを取る」。燃え尽きる決意で、会見した。


その異例のシーズン前の表明にも、訳がある。「競技人生の長さとともに応援してくれる人が増えた」。だからこそ、全力の姿を見届けてほしいと願う。「みんなと心をそろえて、あと1シーズン一緒に駆け抜けたい」。最後の最後まで、大好きなスノーボードを味わい尽くす。【勝部晃多】


◆竹内智香(たけうち・ともか) 1983年(昭58)12月21日、北海道旭川市生まれ。クラーク高3年時の02年にソルトレークシティー五輪に初出場し22位。14年ソチ大会の女子パラレル大回転で銀。5位だった18年平昌大会後に2年半休養して20年8月に復帰。22年北京大会も出場。W杯優勝1度。実家は東川町で旅館を経営。165センチ、62キロ

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