人工知能(AI)向け先端半導体「ブラックウェル」を持つ米エヌビディアのフアン最高経営責任者(CEO)=2024年3月、カリフォルニア州サンノゼ 【シリコンバレー時事】米半導体大手エヌビディアが28日発表した2025年2〜4月期決算は、純利益が前年同期比26%増の187億7500万ドル(約2兆7000億円)と、8四半期ぶりに四半期としての過去最高を更新できなかった。トランプ米政権による中国への半導体輸出規制強化が直撃。巨額の費用計上を迫られた。対中規制は、先行きにも影を落としている。
「米(半導体)産業にとって、500億ドル(約7兆3000億円)規模の中国市場は事実上閉ざされている」。フアン最高経営責任者(CEO)は決算説明会でこう話した。米政府が講じてきた先端半導体の対中輸出規制を踏まえ、中国向けに性能を落とした「H20」もトランプ政権が4月に規制。45億ドル(約6600億円)の費用計上を迫られた。
売上高は69%増の441億ドル(約6兆4000億円)と、過去最高を更新。生成AI(人工知能)が応用段階に突入する中、そのインフラとなるAI・データセンター向けの先端製品「ブラックウェル」などの旺盛な需要が売り上げを押し上げたが、規制が収益力をそいだ形だ。
5〜7月期も需要は底堅い。売上高予想は450億ドル(約6兆6000億円)と2〜4月期を上回る見通しだが、対中規制の影響がさらに深まり、80億ドル(約1兆2000億円)分下押しされるという。
フアン氏は「中国はAI半導体を製造できないという前提に基づいた米国の政策展開は、今や明らかに誤りだ。膨大な製造能力がある」とも述べた。輸出規制は中国の技術革新を促し、米国の人材が競合国に流出すれば、この分野での国際的な地位低下につながると警鐘を鳴らした。