坂本花織らしい自然体での引退表明 結果的には地元神戸にも恩返し/とっておきメモ

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2025年06月20日 14:40  日刊スポーツ

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カメラに向かって手を振る坂本花織(撮影・石井愛子)

フィギュアスケートの前世界女王で22年北京五輪(オリンピック)団体銀メダル、女子銅メダルの坂本花織(25=シスメックス)が20日、ミラノ・コルティナ五輪シーズンとなる来季限りで現役引退すると表明した。


神戸市内に誕生した新たな練習拠点「シスメックス神戸アイスキャンパス」でオープニングセレモニーに参加。同じ所属の三原舞依、壷井達也、三宅咲綺とエキシビション演技を披露した。


◇   ◇   ◇  


坂本らしい自然体での表明だった。出身の神戸市立渚中学校から約400メートル。これまで夏場は市外で練習していた前世界女王にとって、念願の通年型リンク誕生だった。来季限りで引退すると語ったのは、約12分の囲み取材の5分過ぎ。報道陣とのやりとりの流れで明かしており、事前に「この日に表明しよう」とも「今日はやめておこう」とも考えていなかったはずだ。


約1年前のインタビューで、個人のSNSを持っていないことについて触れていた。「記者の皆さんに世の中に伝えてもらって、初めて気持ちが伝わります。だからこそ結果だけじゃないところまで、知ってもらいたいという…」。普段から面識の有無にかかわらず、リンク内外の話題について質問する取材者に真正面から向き合う。五輪メダリストで前世界女王。伝えたことが自身の思いと異なる報道になったこともあるというが「その時は『自分の伝え方が悪かったな』と思います」と言えてしまう。


時にはエキシビションで将来有望な小学生と同じ舞台に立つ。右も左も分からない子の手を引き、あるコーチは「坂本さんが、うちの子の面倒を見てくれて…」と感謝していた。潔くもあり、どこか心地よい今回の引き際の表明も、結果的に神戸に新リンクが誕生したことが広く伝わり、設立に携わった関係者への恩返しになる。用意周到でも、もったいぶることもない“いつもの取材”。ニュースバリューの大小にかかわらず、常に変わらぬ25歳の人柄がにじんだ。【フィギュアスケート担当=松本航】

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