


父さんから「当面は、ばあちゃんの家から学校に通ってくれるか?」と言われ、このとき一瞬だけ「母さんのところは?」という考えが頭をよぎった。でも言えなかった。まだ幼かった俺にとって、両親の離婚はショックな出来事だった。



そのうち大好きな父さんから「離婚を言い出したのはママだ」と聞かされ、俺は母さんを恨むようになった。苦しめているのはママなんだ……。幼かった俺は、母さんを敵視することで両親の離婚への反発の態度を示すようになっていった。

父さんが交通事故に遭ったと聞かされたときは驚いたけれど、命に別状はないとのことだった。本当に良かった。もし父さんがいなくなったら、俺はどうなってしまうんだろう……ふと、そんなことが頭をよぎってしまった。
それと同時に俺は、9年前に別れたきりの母さんのことも思い出していた。幼い頃、俺は母さんにずいぶん酷い言葉を浴びせていた。両親の離婚に動揺して不安になり、それを母さんにぶつけることで解消しようとしていたのだ。離れた後は面会を断りつづけてキッカケを失い、ずっと会えないままになっている。
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【第13話】へ続く。
原案・ママスタ 脚本・渡辺多絵 作画・りますけ 編集・井伊テレ子