元副社長ら5人に有罪=「株価下落防ぐ目的明らか」―SMBC日興相場操縦・東京地裁

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2025年07月22日 11:01  時事通信社

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時事通信社

東京地裁=東京都千代田区(EPA時事)
 SMBC日興証券の相場操縦事件で、金融商品取引法違反罪に問われた元副社長佐藤俊弘(63)、元エクイティ部長山田誠(48)両被告ら5人の判決が22日、東京地裁であった。江口和伸裁判長は「株価の下落を防ぐ目的で売買を行ったことは明らか」と述べ、全員に有罪を言い渡した。

 山田被告は懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役4年)、佐藤被告と元専務執行役員ヒル・トレボー・アロン被告(54)はいずれも懲役2年6月、執行猶予5年(いずれも求刑懲役2年6月)とした。元執行役員アバキャンツ・アレクサンドル被告(47)は懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役2年)、元部長岡崎真一郎被告(59)は懲役2年、執行猶予4年(同)だった。

 公判で5人は無罪を主張。市場の時間外に大株主から買い取った株を投資家に転売する「ブロックオファー」取引を行う前に、同社の自己資金で大量の買い注文を入れたことが、金商法が禁じる「安定操作」に当たるかが争点だった。

 弁護側は「利益獲得が目的だった」などと主張したが、江口裁判長は、大量の買い注文は株価の下落を防ぐためで、安定操作罪が成立すると判断。「自然の需給関係によって形成されるべき相場に影響を与え、証券市場への信頼を害する」と非難した。

 その上で、山田被告が10銘柄すべてで中心的な役割を果たしたと認定。佐藤、アバキャンツ両被告は1銘柄、ヒル被告は2銘柄、岡崎被告は4銘柄で共謀したと認めた。

 判決によると、山田被告らは2019〜21年、ブロックオファー取引を行う前に、計10銘柄に大量の買い注文を入れ、違法に相場の安定を図った。

 事件では、起訴内容を認めた法人としての同社と元執行役員(60)に対する審理が先行。23年2月に東京地裁で別の裁判長がいずれも有罪を言い渡し、確定した。 
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