フィリピンから強制送還され、羽田空港に到着した小島智信被告=2023年2月、東京都大田区 フィリピンを拠点とした「ルフィ」と名乗る指示役らによる広域強盗事件で、実行役らを集めたとして、強盗致傷ほう助や詐欺などの罪に問われた幹部小島智信被告(47)の裁判員裁判の判決が23日、東京地裁であった。板津正道裁判長は「新しいタイプの重大犯罪で、抑止の観点からも厳しい処罰が必要」として懲役20年(求刑懲役23年)を言い渡した。
逮捕・起訴されたルフィグループ幹部4人のうち、判決は初めて。小島被告は起訴内容を認めており、量刑が主な争点だった。
板津裁判長は、特殊詐欺事件では国内の実行役を手配したほか、現金回収役のトップとして関与したと認定。「高度なシステム化・匿名化により、新たなメンバーを調達して犯罪を続けられる点で非常に悪質だ」と非難した。
その上で、組織のトップである渡辺優樹被告(41)と直接話ができる数少ない側近のような立場だったとして、「犯罪組織を円滑に運営し、活動を継続・拡大するのに重要な役割を果たした。刑事責任は非常に重い」と指弾した。
一連の強盗事件では、旧知の闇バイト業者などを通じて実行役を複数回紹介しており、「被告が果たした役割は、ほう助犯の中では非常に重要だ」と指摘。捜査に協力し、組織運営の実態解明に貢献したことや、被害者らに謝罪していることを踏まえても懲役20年が相当だと結論付けた。
事件を巡っては、渡辺被告ら他の幹部3人が、東京都狛江市で女性が死亡した事件にも関与したとして強盗致死罪などで起訴された。初公判の時期は未定。
判決によると、小島被告は2022年10〜12月、東京都稲城市や中野区、山口県岩国市で発生した強盗致傷事件などで実行役を紹介。また19年、特殊詐欺事件で計約5400万円を詐取するなどした。