東京地裁=東京都千代田区(AFP時事) 三菱UFJ銀行の貸金庫から顧客の現金や金塊計3億9000万円超を盗んだとして、窃盗罪に問われた元行員山崎由香理被告(47)=懲戒解雇=の判決が6日、東京地裁であった。小野裕信裁判官は「犯情はまれに見る悪いものだ」として懲役9年(求刑懲役12年)を言い渡した。
山崎被告は起訴内容を認めており、量刑が主な争点だった。小野裁判官は「安全と信じて貸金庫を利用した被害者には何の落ち度もない」と指摘。山崎被告が貸金庫の予備鍵などを管理する立場だったことを踏まえ、「限られた者にしかできない手口でセキュリティーを無力化して犯行を繰り返したことは強く非難されるべきだ」と述べた。
その上で、やめていた外国為替証拠金取引(FX取引)や競馬を小遣い稼ぎ目的で再開し、穴埋めのために貸金庫の金品に手を付けたと認定。「短絡的に犯行を繰り返した経緯に酌むところはない」と指弾した。
一方、山崎被告が銀行や警察に協力し、余罪も包み隠さず話したことや、本人が反省していることを踏まえ、懲役9年が相当だと結論付けた。
小野裁判官は主文を後回しにして量刑理由を読み上げた。判決言い渡し後、「なぜ事件が起きたのか、自分のどこに問題があったかなどを深く考察することが大事で、先々の社会復帰を考えた時に必要なことだと思う」などと説諭した。
判決によると、山崎被告は同行練馬、玉川両支店に勤務していた2023年3月〜24年10月、顧客6人の貸金庫から金塊計29個(約3億3300万円相当)や現金計約6100万円などを盗んだ。