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岩手県北上市の温泉宿で従業員の笹崎勝巳さん(60)がツキノワグマに襲われ、出血性ショックで亡くなった事故は、17日の遺体発見から4日たった21日も関係者は対応に追われた。岩手県警北上署はクマに引きずり出されたとみており、温泉での予想外の事態に地元では動揺が広がっている。
北上市は岩手県で今年度、クマに襲われて亡くなったとされる4人のうち、3人が集中している。同市は八重樫浩文市長を本部長とする危機対策本部を今月7日に設置。市民にクマへの注意喚起を強めていた最中に事故が起きた。市民からのクマに関する通報は過去最高だった2023年度の485件をすでに超え、567件(10月17日現在)に達している。
同市農業振興課の小田島和広課長は「花火で脅かしても逃げないなど、これまでの常識が通用しないクマが出没している」と戸惑いを隠さない。「市民には餌になるものを外に置かないなど、クマと遭遇しない行動を徹底してもらうよう呼びかけていきたい」と話す。
また、現場の瀬美温泉は北上市中心部の西側の山あいにある。死亡事故後、日帰り温泉を中止しており、日中はひっそりとしていた。
亡くなった笹崎さんについて、同温泉の代表取締役、岩本和裕さんは「今春から主に清掃の業務をお願いしていたが、仕事ぶりはまじめだった。ここ数年、クマは見かけることはあったが、このような事故はなく、驚いており残念だ」と話した。【佐藤岳幸】
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