おこめ券 配る?配らない?自治体で温度差、「経費」「利益誘導」に批判の声も【Nスタ解説】

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2025年12月03日 20:48  TBS NEWS DIG

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TBS NEWS DIG

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政府が食料品の高騰対策として自治体に促している「おこめ券」の配布。いま、この「おこめ券」をめぐり各自治体の対応に温度差が出ています。

■「恐ろしく効率の悪い支援策」おこめ券に反対の声

井上貴博キャスター:
政府の物価高対策の一つの大きな柱が「重点支援地方交付金」で、自治体が自由に使い道を決められる交付金です。

▼1万円程度の「家計支援」と、▼3000円程度の「食料品の物価高騰に対する特別加算」があり、「食料品の物価高騰に対する特別加算」には、推奨メニューとしてプレミアム商品券や、おこめ券と記されています。

【重点支援地方交付金】
●家計支援 1万円程度(1世帯あたり)
●食料品の物価高騰に対する特別加算 3000円程度(1人あたり)
例:プレミアム商品券、お米券 等

この特別加算の「おこめ券」をめぐって、各自治体がどう動くのかという状況です。

問題として指摘されている一つに、「コストの問題」があります。

経済評論家の加谷珪一氏によると、例えば「10億円のおこめ券」が配布されたとすると、12%は印刷コストなどとして発券団体へ行くため、実際に引き換えられるおこめ券は「8億8000万円」になるということです。

さらに、輸送コストなどに8000万円かかると見られているため、10億8000万円の予算を使って、8億8000万円分の支援になるといいます。

本当にこれが、税金の使い道として妥当なのかというところです。

経済評論家の加谷氏は、「おこめ券は恐ろしく効率の悪い支援策。現金給付の方が経費が少なくすみます」と指摘しています。

■発行の2団体「農水省とかかわり深い」と指摘も

さらに。大阪・交野市の山本景市長からは、「おこめ券は、発行している団体が実質2団体しかない。農水省ともかかわりが深い団体なので、見方によってはそれらの団体への利益誘導と言われても仕方が無い」といった指摘も出ています。

調べてみると、おこめ券を発行しているのは、▼全国米穀販売事業共済協同組合と、▼JA全農の2団体でした。

予算の12%は発行する団体へ流れるという計算なので、政治家を支えている2団体、農水族議員はここを見ているという見方をされてもおかしくない構図と言えるかもしれません。

金融業界出身のニューレディー 肉乃小路ニクヨさん:
地域によっては地元でコメが流通していて余っている、コメを買わなくてもいいという場所もあると思いますので、一律でおこめ券というのは無理があるかなと思っていました。

ただ、おこめ券の発行にこれだけコストがかかるとなると、私達の税金を少しでも効率よく、有効に使ってもらいたいと思いますから、やはりおこめ券は厳しいのかなと感じました。

地域の実情など、それぞれで違うとは思いますが、合っていない部分が多いので、もっと使いやすい形で、コストを抑えられる方法がないか探ってほしいです。

出水麻衣キャスター:
大阪・交野市が先陣を切って他のものに使うと明言したことで、他の自治体でも切り替えの議論が加速しているのであれば良いことですよね。少しでも多く国民の生活にまわるよう、後押ししてほしいと思います。

井上貴博キャスター:
現金給付だとあまりお金を使わずに懐におさめてしまう、期限付きの商品券だとコストがかかる、デジタルクーポンだと仕組みが整っていない、毎回こういう議論になっているように感じてしまいます。

■「現金給付や給食費支援なども可」農水省が説明

井上貴博キャスター:
「おこめ券や商品券以外でも可能なのか」という疑問もあると思います。

内閣府によると、「できる限り負担が少なく効率的なものを検討し、自治体の実情に合わせて決めていただく。現金給付や水道料金・給食費支援なども可」だということです。

農水省は、3日から3日間、自治体向けに“おこめ券”などに関する説明会を開催しています。

説明会に参加した東京・八王子市は「(他の市も含め)おこめ券への関心が高いと思った。仕組みについて初めて聞いた話もあった」としています。

おこめ券というワードが一人歩きしている状況なのでしょうか。重点支援地方交付金の書き方について、「家計支援として1万3000円程度」と合わせる形であれば、混乱がなかったのかもしれません。

出水麻衣キャスター:
私達メディアも「おこめ券」というキーワードが目を引くので、そこを主語にしてしまった部分もあり、ミスリーディングだったかもしれません。

■「おこめ券以外」だと自治体ごとに格差も?

井上貴博キャスター:
重点支援地方交付金が柔軟に使えるとなると、自治体の判断で使い方が変わってきそうです。

▼プレミアム商品券、▼おこめ券、▼子育て支援、▼水道料金の減免、▼学校給食費の支援などで支援することもできます。

そうした場合、自治体の間で支援に差が出たり、子どもがいない世帯に恩恵が少ないなど個人間での不公平感につながったりする可能性もあります。

平等・公平をどう考えるのかという点も難しい問題です。

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<プロフィール>
肉乃小路ニクヨさん
ニューレディー 銀行・保険会社など金融業界でキャリアを積む
独自の視点で経済・お金・人生観を語る

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  • 何やるにも利権作るために時間かける訳ね。
    • イイネ!8
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