
<フィギュアスケート:グランプリ(GP)ファイナル>◇4日◇第1日◇愛知・IGアリーナ◇男子ショートプログラム(SP)
来年のミラノ・コルティナ五輪で金メダルを目指す男子の鍵山優真(22=オリエンタルバイオ/中京大)が、最高のスタートを決めた。22年北京五輪で記録した従来の自己ベスト108・12点を上回る108・77点で首位。2位佐藤駿に10・71点差、3連覇を狙う3位イリア・マリニン(米国)に14・72点差をつけた。ペアの愛称「りくりゅう」こと三浦璃来(23)木原龍一(33)組は77・32点で首位発進。自国開催の大舞台で3年ぶり2度目の優勝へ弾みをつけた。
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右肩が外れそうな勢いのガッツポーズを見せたリンク上とは正反対に、取材エリアの鍵山は落ち着いていた。世界王者マリニンに14・72点差をつけて首位発進。銀メダルだった北京五輪のSPを0・65点上回ったが、順位や数字以上にうれしかったのはさらなる領域を捉えたことだった。「自分としては100パーセントの出来ではなかった。高いところを目指せる伸びしろを感じた」。湧き上がる高揚感をかみしめ、押し殺した。「喜ぶのは今日で終わり。明後日またしっかりとやりたい」と誓った。
史上最強の鍵山優真を体現した。新衣装で心機一転。「I wish」の軽快なメロディーに体を任せ、冒頭の4回転−3回転の連続トーループ、4回点サルコーで3点を超える出来栄え点をマークした。「内心ではすごく緊張した」というステップシークエンスも1つ1つ丁寧に。「観客をメロメロにしたい」というプログラムだが、「とにかく自分に集中。自分が一番楽しければ自然と見る人も楽しくなる」と、自己陶酔で自分を超えた。
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「自分が一番かっこいい」。今大会のテーマだ。GPシリーズ2連勝でファイナル進出を決めたが、2戦ともに迷いや不安から練習ではないミスが相次いだ。「すごく不安になっちゃうと、すぐ周りを気にしちゃったりとか『自分なんて…』みたいに思う場面がすごく出ちゃう」。負の連鎖に陥りかけた時、響いたのは父正和コーチのカツだった。「自分を信じないでどうする」。頂点を目指す五輪前に底を経験できたと前向きに捉え直した。中京大での練習中にはリンクメートに「フィンランドではひどい演技をしてしまった」と笑い話にできるほどになった。
不退転の決意で迎えた五輪前哨戦のGPファイナル。「あの経験が本当に学びになった。『自分が一番強いんだ』と、それぐらいの気持ちでいく方が自分には合ってる。今、本当に自分の中では最強の状態で来られてるかなって思う」。フリーでも気持ちは同じ。今度は自分を裏切らない。【勝部晃多】
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