日本が舞台の「アサシンクリード」最新作、予告だけで大炎上 騒動を見たマンガ家が残念に感じたこと

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2024年05月26日 12:51  ITmedia NEWS

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フランスのゲームメーカー、Ubisoftの人気ゲームである「アサシンクリード」(以下アサクリ)シリーズの最新作、「アサシンクリード シャドウズ」の発売日が11月12日に決定しました。シリーズ初の日本が舞台ということで注目される本作ですが、発売に先駆けて公開された、概要と公式トレーラーがキッカケとなり、国内外で炎上騒ぎになっています。


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 炎上した理由の1つは、主人公が、織田信長の時代に実在した黒人の「弥助」であったことです。


 アサクリシリーズは、様々な時代や国で暗躍するアサシンとなりターゲットを暗殺していくステルスアクションゲーム。これまでのシリーズの主人公は、基本的には舞台となる国や地域にゆかりのある架空の人物だったのですが、今回は違いました。日本人を期待していた、あるいは主人公の選定にポリコレ的なものを感じた海外ユーザーから批判が殺到したようです。


 さらに、公開されたトレーラーで見られたゲーム内の日本の描写があまりにトンデモナイ内容だったのも炎上の理由に挙げられます。過去のアサクリシリーズは、徹底した時代考証もその特長の1つだったこともあり、主人公の件も合わせて「日本をバカにしているのでは?」といった不満が噴出したようです。どんな日本を描いたのかはマンガで紹介しています。


 マンガ家という、作品を生み出す立場のボクとしては、今回の発表内容については理解できる部分もあります。フランスでゲームを作っている人たちが、遠い日本の文化や風習を正確に理解することは難しいと思いますし、より文化や背景を理解しやすい人物を主人公に置いたほうが、キャラクターとしては描きやすいだろうなぁ、とも思います。


 ただ気になったのは、あまり記録が残っていない弥助という人物について「侍だった」と断定的に紹介されるケースが多く、それが炎上の一因にもなっていることです。ゲームですから、キャラクターが侍であったほうが面白いというのは理解できます。しかし、ゲームの話なのに、史実とフィクションを(意図的かどうかはともかく)混同した言説が多かったり、一部の人たちの思想や主張に利用されたりしている現状は、とても残念だと感じました。


 史実を含んでいても、ゲームは基本的にフィクションであり、エンターテインメントです。アサシンクリード シャドウズも、多くの人にフィクションとして楽しんでもらいたいと思いますし、少なくともボクはそのつもりです。


●著者紹介:サダタロー


1998年にテレビ番組「トロイの木馬」出演をきっかけに漫画家デビュー。代表作は「ハダカ侍」(講談社、全6巻)、「ルパンチック」(双葉社、1巻)、「コミックくまモン」(朝日新聞出版、既刊7冊)など。現在、熊本日日新聞他で4コマ漫画「くまモン」を連載中。Pixivはsadataro、Twitterは@sadafrecce。


●連載:サダタローのゆるっと漫画劇場


漫画家のサダタローさんが、世界初の電脳編集者「リモたん」と一緒に話題のアレコレについてゆる〜く語るまんが連載。たぶん週末に掲載します。連載一覧はこちら。過去の連載はこちらからどうぞ。


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