一口も食べないまま電車へ…“駅そば店員”が遭遇した迷惑客。実は「冷やし=早い」は誤解?

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2024年06月18日 09:21  日刊SPA!

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一番人気は温の「かき揚げそば」
 駅そばは駅ナカという立地や値段設定による敷居の低さが魅力のひとつだ。ただ、なかにはそんな敷居の低さゆえに勘違いし、横暴になるお客も少なくない。現役駅そば店員である筆者がこれまで遭遇した、思わず顔を二度見してしまったお客や腹の立ったエピソードを紹介する。
◆「冷やしは早い」とカン違いしてキレる客

 ある日、男性客に冷やしたぬきそばを提供すると、いきなり「誰が冷やしなんか頼んだよ!」と叫び睨んできた。しかし、手元の食券にはたしかに「冷やし」と書かれている。お客に食券を見せ確認をしてもらうと、「しょうがねえから、食ってやるか」と言い放ちそばを食し始めた。

 あまりの傲慢な態度に一瞬腹が立ったが、今思えば冷やしの提供スピードを勘違いしてたがゆえの態度だったかもしれない。急いでいるお客が最も多く誤解しているのが「冷やしそばは早い」だ。

 冷やしはお客にとって早く食べられるのであって、提供する側にとっては実は温そばよりも倍近い時間がかかるのである。温そばにはない麺の粗熱とぬめりを取り、氷水で麺をしめる工程が入るためだ。

 そのようなお客が「冷やしは早い」という先入観でざるそばなどを注文したらどうなるか。そばを半分以上残したまま食べ散らかし、電車に飛び乗っていく姿はこの時期によく見られる光景だ。

◆一口も食べないまま電車へ飛び乗る姿も

 ただ、どんなに傲慢な態度のお客でも、提供したそばを食べてくれるだけマシかもしれない。以前、ランチタイムの注文が立て込んでいる状況のなかで中華そばの食券を出したものの、カウンターに提供されるや一口も食べずに店を出たお客がいた。
 
 急いでいるそぶりを見せておいて、時間がかかるメニューを頼まれるとこちらも腹が立つ。その代表が「中華そば」だ。麺の茹で時間は、そばが5秒未満であるのに対し、中華そばは30秒以上はかかる。盛り付けるトッピングもチャーシュー、メンマ、わかめ、ネギと多いため、どんなにベテランが作っても全体で90秒はかかってしまうだろう。

 そもそも、急いでいるのはそちらの都合であって店側には関係のないことだ。急ぐからにはお客にも店の状況に合った注文をしてもらいたい。

◆駅そば店を”両替機”として利用するお客

 忙しい時間帯で最も始末に負えないのが、「空気の読めない客」だ。たとえば、両替である。

 筆者が働いている店の券売機は紙幣で使えるのは千円札のみ。5千円札と1万円札を使用したいお客には、金庫から両替用の紙幣を出して対応している。繁忙時にワンオペで働いていた頃はこの対応が調理時間にかなり響いたが、両替はこちらの都合である。仕方がない。

 しかし、中には「両替お願い」と開店間もない時間に1万円札を差し出してきたのは白髪頭にスーツ姿の一見、会社重役風の男性。この紳士が1万円札を出してきたのは筆者が対応しただけでも3回目である。

 この店の券売機が千円札しか使えないこと、繁忙時であること、ワンオペであることは知っているはず。大体、改札階に行けば駅の券売機でいくらでも両替やチャージができるのである。

「お前、3度目やぞ!」と声には出さなかったが、両替の千円札を数える筆者の顔は死球を食らったときの清原和博のような形相をしていたように思う。ただ、上には上がいたもので、1万円札を両替したにも関わらず、食券を買わずに特急電車に乗って行ってしまったお客に接したこともある。

◆満席のカウンターで持ち込んだ缶ビールを「プシュッ」

 このように、駅そばは敷居の低さゆえに「何やってもあり」だと勘違いしているお客の振る舞いを多く見かける。店員に隠れて口にしたのだろう、カウンターの下に駅そばでは扱っていないおにぎりの包装ビニールやアルコールの空き缶が捨てられていることなどはしょっちゅうだ。

 店が満席の状況の中、外で買ってきた缶ビールを「プシュッ」っと開け、飲み始めたお客もいる。「申し訳ありません、持ち込みの飲食は勘弁してもらいますか」という対応でやめてはもらえたが、このお客、その後も意に介さず来店するのには恐れ入るしかない。

<文/ボニー・アイドル>

【ボニー・アイドル】
ライター。体験・潜入ルポ、B級グルメ、芸能・アイドル評などを中心に手掛ける。X(旧Twitter):@bonnieidol

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  • 素人あるある。立ち食いは熱いものを素早く食うテクニックが必要だ。
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