40代以上に忍び寄る“失明”の恐怖。気づかぬうちに進行する病気「緑内障」とは

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2024年06月25日 16:11  日刊SPA!

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◆気づかぬうちに進行する病気「緑内障」とは 
 40代、50代となると、視力の衰えが気になってくる頃合いでしょう。ぼんやりとして見えづらいのは老眼でしょうか。もしかしたら白内障かも? これらの症状は、目のレンズである水晶体が原因で起こるものです。そして、その他にも目の奥……網膜が障害されて進行する病気もあるのです。それが「緑内障」です。

 老眼は眼鏡で矯正できます。白内障は手術で回復できます。しかし緑内障は、対策をせず放っておくと回復させることができず、さらには失明してしまう可能性が高い病気です。実は日本人の中途失明原因第1位が緑内障なのです。

 緑内障を発症すると、目の奥の網膜に張り巡らされた視神経がダメージを受けてしまい、じわじわと損傷していき、視界が欠けていってしまいます。視神経が損傷して失われてしまうと、現在のところ回復する手段がありません。視界が徐々に狭まっていくのですが、人間の脳の機能が視野欠損を補うため、視界の欠落になかなか気づけないのも恐ろしいところ。「見えづらい」と思い始めたころには、すでに緑内障が末期状態に……ということもよくあるのです。

 しかし、緑内障になったとしても、早期発見、早期治療することができれば、99%失明することはありません。では、早く緑内障を発見し、治療をしていくためには、どうしたらよいのでしょうか。

※この記事は『専門名医が教える!緑内障に効くたった2つの習慣』に掲載された内容を再編集しています

◆あなたの「眼圧」は正常値ですか?

 日々、血圧は気にしている人は多いですが、目の中の圧力「眼圧」を測っている人は少ないでしょう。目の中では房水という液体が循環しており、適度な圧力を保っています。しかし何らかの原因で房水の排出口が詰まったり、塞がれたりすると、眼圧が上がってしまうことがあります。それによって、視神経が圧迫されてダメージを受け、視神経が損傷していってしまうのです。

 眼圧が上昇しても、視神経がダメージを受けても、痒かったり痛かったりなどの感覚はありません。初期段階では何の症状も感じないのが緑内障の恐ろしいところです。

 眼圧を知り、網膜の状態をチェックするためにも、40歳以上になったら一度眼科検診を受けてみることをおすすめします。特に強度近視の人や近親者に緑内障患者がいる場合は、年齢関係なく早めに検査を受けましょう。

 健康診断や人間ドックでの眼圧検査で問題なしとなった人も要注意。日本人の緑内障患者は、その7割が「正常眼圧緑内障」といって、眼圧が正常値なのにもかかわらず緑内障を発症しているのです。これは様々な要因があるのですが、眼圧が正常値でも視神経がダメージを負ってしまっているのです。

 こういった隠れた緑内障を発見するためにも、眼科での検査が必要です。現在の眼科では「OCT検査」と言って、網膜の状態を光の照射でチェックする検査を行うことができます。これを用いればすぐさま網膜の状態を確認できるのです。

◆白内障とはどう違うの?

 白内障は水晶体が濁ることで起こる病気で、緑内障は視神経がダメージを追うことで起こる病気です。白と緑で名称は似ていますが全く別の要因で起こる病気なのですが、「目が霞んで見えづらくなる」という症状が似通っているのです。

 白内障は人間が老化していくと必ず起こる症状で、80歳を過ぎるとほぼ100%の人が発症します。そのため、ありふれた病気として認識されており、手術すれば治るということも知っている人が多いでしょう。

 対して緑内障は40代で50人に1人、50代で34人に1人くらいの割合で発症します。80代になっても11人に1人くらいの割合です。白内障と比べれば割合は低く、「自分は大丈夫だろう」と見過ごされてしまうことが多いのです。もし緑内障が発症していたとしても、通常は5〜6年をかけて視野欠損が進行していきます。さらに、白内障も併発していることもあります。症状が似ているがゆえに、白内障だと思っていたら実は緑内障が進行していた、ということが起こります。

 なので、何の自覚症状がなくとも眼科検診を受けて緑内障のチェックが必要なのです。

◆緑内障に効くたった2つの習慣

 眼科で検査を受け、自分が緑内障だとわかったら、どうすればよいのでしょうか。失明原因第1位と知って恐ろしく感じてしまうかもしれませんが、最初に述べた通り、きちんと治療を続けていけば99%失明することはありません。守るべきことはたった2つ。「きちんと通院する」「きちんと目薬をさす」……これだけです。

 放っておくと失明の危険があるのですが、逆に言えばしっかりケアをすれば健康な目を維持できるのです。目がしっかり見えているいまのうちから、対策をしていきましょう。医師の診断と定期的な検査を受け、毎日の目薬を続けていけば、緑内障の進行は防ぐことができるのです。

<監修/真鍋佑介>

【真鍋 佑介】
真鍋眼科・婦人科院長。「近視予防を広めたい」という意思から眼科医を志し、2015年から岐阜大学病院の眼科医として長年分野を問わず疾患の診療をしてきた。後に緑内障専門医として診療と研究に従事する。2021年から真鍋眼科・真鍋婦人科に勤務。なんでも相談できる「かかりつけ医」をモットーとして患者を支えている。

このニュースに関するつぶやき

  • 検査は眼底検診というやつです。料金は高く取られるものの、40代になったら、迷わず検査を受けた方が良いですよ?
    • イイネ!2
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