一言で「水」と言っても、実は採水地によって「硬度」は様々です。硬度とは、水がどれくらいミネラルを含んでいるかの指標で、主にカルシウム量とマグネシウム量を算定式に当てはめて求められます。
日本では一般に硬度が100mg/L未満のものを「軟水」、100mg/L以上 300mg/L未満のものを「中硬水」、300mg/L以上のものを「硬水」と分類することが多いです。日本国内の水道水の硬度は30〜100mg/Lくらいで軟水に相当します。軟水でお米を炊くと、柔らかで粘り気のある、ふっくらとした白いご飯が炊き上がります。
硬水でご飯を炊くとどうなる? 硬い食感で、色は黄色くなる理由
それでは硬水を使用するとどうなるでしょうか? 軟水と硬水のどちらが炊飯に適するかは、実際にやってみると一目瞭然です。試しに硬水を使ってお米を炊くと、
・お米が硬めになる
・色が黄色くなる
という結果になると思います。
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色が黄色くなってしまうのは、硬水に多く含まれるカルシウムやマグネシウムが「メイラード反応」を促進するからです。「メイラード反応」とは、高温で糖とアミノ酸が反応して「メラノイジン」という褐色色素が生じるという化学反応です。お米にも糖とアミノ酸が含まれていますので、加熱すると黄色くなりがちです。
炊き上がってすぐに食べるときは白くておいしそうなお米が、炊飯器の中で長時間保温していると、どんどん黄色くなってしまうのは、この化学反応が進行するからです。硬水で炊いたときには、この反応が早く進むので、炊き上がった段階でもう黄色くなっているのです。
ミネラルウォーターを炊飯に使うときの注意点
また、炊飯には水道水ではなく、ペットボトルなどに入ったミネラルウォーターを使っている人もいるでしょう。地下水(淡水)を原水としたナチュラルミネラルウォーターは、地中でろ過されていく中で、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラル分が溶解し、自然に水に混じっていきますが、採水地が日本のミネラルウォーターは、ほとんどが水道水と同じく軟水なので、問題ありません。
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日本のお米の炊飯には適さないので、これらは炊飯には使わない方がよいでしょう。
阿部 和穂プロフィール
薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。(文:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者))