もう、どうすれば 豪雨が追い打ち 能登

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2024年10月05日 16:01  毎日新聞

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流木などが流れ込んだ自宅前で、家の中から取り出したカゴを洗う上野繁子さん(65)=石川県輪島市町野町で2024年9月28日、手塚耕一郎撮影

 「もうどうすればよいのか……」。上野繁子さん(65)は元気なくつぶやいた。石川県輪島市町野町の南(みなみ)時(とき)国(くに)地区。普段は僅かしか水が流れていない小川を、9月21日朝、濁流が流れ下った。自宅には、大量の流木や土砂が流れ込み、中はめちゃくちゃに。裏を流れていた小川は、せき止められて家の前に流れを変えた。


 上野さんは、金沢で行われる孫の高校野球大会を見るために夫婦で21日午前6時半過ぎに車で自宅を出発し、難を逃れた。近隣住民によると濁流が襲ったのは午前9時前だったという。「自宅にいたら逃げられなかったと思う。戻って家を見た時には涙が出た」と語る。元日の地震で自宅は準半壊の判定。瓦が落ちて雨漏りしていたため、荷物の多くを1階に移していた。豪雨後は、息子宅に身を寄せたが、「仮設住宅に入れるならすぐにでも入りたい」と、この先の生活に不安を感じている。


 珠洲市の大谷地区は、大規模な土砂崩れによって、女性1人が亡くなった。建ち並ぶ建物の1階部分が完全に土砂にのみ込まれている。行政の担当者が調査に訪れていたが、住民が自ら片付けられる状況ではなく、ひっそりと静まり返っていた。


 9月21日から22日にかけて石川県の能登半島北部を襲った豪雨は、輪島市で48時間降水量が500ミリ近くに達するなど、各地で観測史上最大の雨量を記録した。地震の甚大な被害から、まだ立ち直り始めたばかりだった。 今日で豪雨災害の発生から2週間。14人が亡くなり、1人の行方がわかっていない(10月4日現在)。【手塚耕一郎】



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  • 記事見出しを見て思ったのだが、我らが本当にやらなければいけない訓練は、防災訓練ではなく、被災訓練なのでは。正確には被災後訓練か。逃げ延びた後のことを考えたことある人って少ないんじゃないかな。
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