マイコプラズマ肺炎「過去最多流行」の理由を医師が解説

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2024年10月10日 11:10  web女性自身

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「9月に入り東京都では1日あたりの患者数が、統計報告が開始された1999年以来過去最多を記録するなど、マイコプラズマ肺炎の感染が広がっています」(医療ジャーナリスト)



国立感染症研究所の最新39週目(9月23日〜9月29日)のデータによると、1医療機関あたりの患者数は全国で昨年同時期と比べ41倍と大幅に拡大している。



また、都道府県別では、福井県、埼玉県、岐阜県、東京都、愛知県、京都府、広島県、兵庫県、大阪府など、人が集中する人気の観光地とその周辺地域が多くなっている。



マイコプラズマという細菌が引き起こすマイコプラズマ肺炎は、風邪や新型コロナウイルスなどと同様、飛沫や接触によって感染を拡大させていく。



「初期症状には発熱、倦怠感、頭痛、咳、喉の痛みなど、風邪と似たものが多い。



特徴的なのが、しつこく乾いた咳といつまでも続く喉の痛みです。



病名に『肺炎』とつきますが、症状は普通の肺炎に比べると比較的軽いことが多く、かかっても気づかない場合もあります」



こう説明するのは、川崎医療福祉大学医療福祉学部子ども医療福祉学科特任教授の尾内一信先生。



では、なぜ今年は過去最多といわれるほど流行しているのだろうか。



「2020年に新型コロナウイルスが現れて以来3〜4年にわたって、マスク、手洗い、“3密”を避けるなどの感染対策がしっかりと行われていました。



これが感染症全般にとって拡大を防ぐことになり、例年注意喚起をしていたインフルエンザなどほかの感染症も流行することはありませんでした。



ところが、昨年5月に新型コロナウイルスが5類に移行され、感染対策を徐々に緩めてきたこと、さらにこの数年間で集団的に免疫が落ちたことで、今年になって、マイコプラズマの感染者が非常に増えてきたようです」(尾内先生、以下同)



現時点で感染者の多くは10代以下の子どものようだが、マイコプラズマは大人にも感染する。



「マイコプラズマは常に一定数の人に潜伏していると考えられており、免疫力が下がると発症し、飛沫や接触により周囲に感染拡大するという経路をたどります。



一般的には5〜50歳の人がかかるといわれていますが、子どものほうが学校などで集団生活をしているため、最初に感染しやすく、家庭内で大人にもうつします。そのため、遅れて大人の間でも流行がやってくると考えられます」



さらに、感染者の5〜10%は何らかの合併症を発症することがわかっている。



「罹患した人の中には、髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎、心筋炎などの合併症を引き起こすことがあります。その程度は軽症から重症まであるものの、マイコプラズマは合併症を起こしやすい感染症だといえます」



症状が風邪に似ているうえ、ゆっくりと現れるため、気づかないまま放置されることもあるというが、咳が長引く場合は早めに医療機関を受診しよう。



ちなみにマイコプラズマに有効なワクチンはないという。





■秋の行楽シーズンに向けさらに拡大する可能性が



治療にはマクロライド系の抗菌薬が処方され、比較的早期に回復が見込めるが、2000年ごろからマクロライド系薬の耐性菌が増えてきた。



「そのため日本ではニューキノロン系やテトラサイクリン系抗菌薬も使われるようになっています。ところが、中国、韓国、台湾などアジア諸国で使われる年少児用の治療薬はマクロライド系のみで、一般的に小児用ニューキノロン系薬が使用できない。



さらに海外は日本よりも新型コロナウイルスに対する感染対策の規制緩和が早かったため、マイコプラズマ肺炎の流行も海外のほうが先に始まっています。



感染拡大の背景には海外からの渡航者によってマイコプラズマが持ち込まれたということもあるでしょう」



実際、東京都と周辺の県、愛知県、大阪府、京都府、北海道など、大都市や観光地における感染者数は、ほかの地域に比べて多い。



日本政府観光局によると、今年の上半期の外国人旅行者数は約1,778万人と過去最多で、7〜8月も過去最多数を更新し続けている。



これから秋の行楽シーズンを迎え、紅葉を楽しむ観光客で各地ともにぎわうことだろう。そうなると感染も拡大傾向になることが予想される。



「ただ、今流行しているマイコプラズマは強毒株というわけではなく、感染拡大の理由は集団免疫の低下によるものが大きい」と尾内先生は話す。



手洗い、うがい、マスク着用といった感染対策はもちろんのこと、気温が下がると免疫力も落ちやすくなるので、バランスのとれた食事、しっかり休息をとり、ストレスをためないなど、免疫力を高める生活習慣を心がけ、病気を寄せつけない体づくりをしよう。

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  • covid-19の大流行期にはマイコプラズマ肺炎が影を潜めていた原因はわかるが、なぜそれ以前と比して今「最多流行」の原因が記事にはない。治療薬耐性菌が出てきた時期ともぴったりしないし…
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