大山のぶ代さん死去 90歳 老衰 「ぼく、ドラえもん」アドリブで生み出した名ぜりふ

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2024年10月11日 13:31  日刊スポーツ

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大山のぶ代さん(2006年6月撮影)

声優の大山のぶ代(おおやま・のぶよ、本名・山下羨代=のぶよ)さんが9月29日、老衰のため亡くなった。90歳だった。所属事務所が11日、公表した。親族のみで密葬を済ませたという。


15年5月に、夫の砂川啓介さんが認知症を患い闘病中であることを公表。その砂川さんが17年7月に80歳で亡くなった際は、老人介護施設に入所しており、所属事務所がサポートを続けていることが明らかになっていた。


大山さんは、母の死をきっかけに都立三田高在学中に俳優を志し、俳優座養成所の6期生になった。同期には市原悦子さん、作家のジェームス三木さん、冨士真奈美がいた。卒業後は、テレビドラマに出演する一方でハスキーボイスを買われ、NHKの人形劇「ブーフーウー」に出演し、声優の仕事が増えていった。64年に砂川さんと結婚した。


69年には、フジテレビ系アニメ「サザエさん」で、磯野カツオの初代の声を担当。79年のテレビ朝日系「ドラえもん」では主人公ドラえもんを演じた。名ぜりふ「ぼく、ドラえもん」をアドリブで生みだし、原作の故藤子・F・不二雄氏が「ドラえもんはこういう声だったんですね」と認めるほどの、一世一代の当たり役となった。


04年11月に、番組25周年の区切りや高齢化などの理由で主要声優陣の一新、交代が発表された。翌05年3月に降板するまで、ドラえもんを25年演じ続け「テレビ放送から25年がすぎ、ちょうど良い交代の時期。遠い未来までずっとずっとみんなに愛される『ドラえもん』であってほしい」と語っていた。


08年4月には脳梗塞(こうそく)で入院。翌09年4月30日放送のテレビ朝日系「徹子の部屋」で、約1年ぶりに芸能活動を再開した際は、50年以上の付き合いという黒柳徹子に「皆さんの励ましのおかげ。医者も回復が早いとびっくりしていました」。手術はせず、血栓を溶かす薬を点滴で投与。懸命のリハビリを続け、入院から4カ月後の08年8月に退院し、自宅でリハビリを続けてきたことなども明かしていた。


10年11月には、都内で行われた5年ぶりに声優を務めたゲームソフト「ダンガンロンパ〜希望の学園と絶望の高校生〜」の完成披露発表会に出席。メディアの前に出るイベントは病気後、初だったが「悪役は初めて。思い描いたままをやったら、周りがニコニコしていた。らしくない悪役なんです」と演じたモノクマについて説明。劇中のキメゼリフ「お前ら、お仕置きしちゃうぞ」まで披露した。


ただ、15年5月に認知症を患い、闘病中であることが明らかになった。同13日に、砂川さんがTBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」に生出演した際に、08年に患った脳梗塞の影響で物忘れの症状が以前からあったことを明かし「脳梗塞の後遺症だと思い(最初は病気に)気づかなかった」と説明。大山さんが自宅で生活し、体は元気だが直前に言ったことを忘れるなどの症状があると明かしていた。


夫妻の所属事務所は日刊スポーツの取材に「料理本を出版するほどの料理の腕だったが、料理ができない」「2分前に会った人の名前を思い出せない」「自ら入浴できない」などの症状を説明。認知症の症状は約2年前から出始め、症状が出ない日と出る日があるとした。


さらに同15日には、砂川さんが都内で会見し、大山さんの年齢を3歳、詐称していたと告白。その際、大山さんの現状について「話が通じず、会話は難しい。外出もほとんどしない」と説明。「ドラえもん」を自宅で見る時もあるというが、「(声優時代の記憶は)あまりないみたい」とも語った。また、自身が13年に胃がんを発病したことについても説明した。


それでも、大山さんは同7月に舞台「スーパーダンガンロンパ2 THE STAGE〜さよなら絶望学園〜」に登場する、物語の鍵を握るキャラクター「モノクマ」の声の収録を行い、約1年ぶりに声優業に復帰した。所属事務所は「声の仕事を続ける意思はある」とし「現在は未定。今後は様子を見て判断。台本を読むことに支障はなく、声取りはできるがテレビなど映像の仕事は難しい」と女優業の継続が困難な可能性も示唆した。


同10月には、砂川さんが著書「娘になった妻、のぶ代へ 大山のぶ代『認知症』介護日記」の出版会見を開いた。その中で、大山さんの今後について「仕事はできないと思う。仕事をした方がいいかも。進行が止まるかもしれないと感じることがあるから」と、その後の声優業が困難との見通しを示していた。


その砂川さんが、17年7月に尿管がんのため亡くなった。2人に子供はなく、砂川さんは生前「妻を置いて先に死ねない」と言っていた。2人の所属事務所関係者は「2人の専任だった女性マネジャーがいる。大山さんのサポートは施設側と密に連絡を取りながら、事務所として今後も続けていく」と話していた。


◆大山のぶ代(おおやま・のぶよ)1933年(昭8)10月16日、東京都生まれ。56年にNHKドラマ「この瞳」でデビュー。日本テレビ系「熱中時代」など多くのドラマに出演。

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