浅煎り・中煎り・深煎りのどれがいい?医師が教える“コーヒー”が持つ健康効果

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2024年10月25日 15:00  クックパッドニュース

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「コーヒーは体に良くない」などと耳にすることも少なくないですが、実はさまざまな健康効果も報告されています。また、焙煎の状態によって得られる効果は変わってくるとも言われているようです。そこで今回は、コーヒーの持つ健康効果や焙煎状態よる違いなどについて、YouTubeチャンネルの登録者数が37万人を誇る、医師でヘルスコーチの石黒成治先生に教えてもらいました。

「コーヒー」の摂取が与えるさまざまな影響

“コーヒー”は体にとってプラスの影響もマイナスの影響も及ぼす食品と言えます。 昔は「コーヒーは体に悪い」と言われていました。

カフェインが入っている点とコレステロール値を上げてしまう点が指摘されていて、実際に疫学的なデータでコレステロール値が上がると示しているものもあります。

しかし、ここ20〜30年のデータでは、コーヒーを飲むと死亡率、子宮がん、大腸がん、肝臓がん、前立腺がん、そしてアルコール性の肝炎や肝硬変などの慢性の肝疾患などのリスクが下がるということがわかってきています。

コーヒーの摂取による糖尿病の予防効果も多くの研究で報告されていて、コーヒーを1日1杯、余分に飲むごとに糖尿病のリスクが6%ずつ下がることも報告されています。

「血糖値」を下げる成分も含まれている

コーヒーに含まれるカフェインは血糖値を少し上げる方向に働かせ、カフェインはインスリン抵抗性を増し、筋肉の糖の取り込みを阻害する作用もあります。

結果的にカフェインは血糖値に対して悪影響を及ぼしますが、コーヒーそのものには血糖値を下げる成分も含まれています。

その代表的なものがクロロゲン酸というポリフェノールで、クロロゲン酸は腸の中のアルファグルコシダーゼという酵素の働きを阻害します。

砂糖やでんぷんなどのさまざまな糖分が体内には入ってきますが、アルファグルコシダーゼはそれを分解して、最終的にブドウ糖という形で吸収して、それが血液の中に入ると血糖になります。

そのため、アルファグルコシダーゼをブロックすることができれば、血糖値の吸収をより緩やかにさせ、血糖値の上昇を遅らせることができます。

クロロゲン酸は生豆の状態で最も含まれていて、加熱するとどんどん活性を失っていきます。 コーヒーは焙煎して温度を上げるので、焙煎すればするほどクロロゲン酸の量も落ちていくので、浅煎りのものであればあるほど血糖値のコントロールにとっては有利になります。

“浅煎りコーヒー”が持つ効果

さらに、浅煎りのコーヒーには、血糖値をコントロールする上で重要な成分であるトリゴネリンも含まれています。

トリゴネリンは、血管の機能を改善して、脳神経細胞で活性化する物質で、トリゴネリンがあることによって神経同士をつなげている軸索を伸ばすことができます。

それにより記憶力の向上などの効果があると報告されていますが、トリゴネリンには血糖値を下げる作用もあります。

トリゴネリンは焙煎すると、ニコチン酸(ナイアシン)、いわゆるビタミンB3になってしまうので、血糖値を下げる効果としては生豆になればなるほど有利であると言えます。

コーヒーは焙煎状態で効果が変わってくる

コーヒーは浅煎り、中煎り、深煎りと焙煎するごとに健康効果を生み出す物質が変わってきます。

浅煎りであればあるほど血糖値のコントロールに有利ですし、脳の機能の改善効果も得られます。

中煎りは少し酸味が強くなりますが、最も抗酸化物質が多い状態です。

深煎りは香りの成分が強く出て、リラックス効果が得られますし、ミトコンドリアの活性効果が一番強いです。

焙煎状態によって全く違う健康ドリンクになるので、各種のコーヒー豆を取り揃えて飲むのもいいのではないでしょうか。

(TEXT:山田周平)

▼動画でもっと詳しく知る

画像提供:Adobe Stock

石黒成治先生


消化器外科医、ヘルスコーチ。
1973年、名古屋市生まれ。1997年、名古屋大学医学部卒。国立がん研究センター中央病院で大腸癌外科治療のトレーニングを受ける。その後、名古屋大学医学部附属病院、愛知県がんセンター中央病院、愛知医科大学病院に勤務する。2018年から予防医療を行うヘルスコーチとしての活動を開始。腸内環境の改善法、薬に頼らない健康法の普及を目的に、メールマガジン、YouTube、Instagram、Facebookなどで知識、情報を分かりやすく発信している。Dr Ishiguro YouTubeチャンネル登録者数は37万人超(2024年1月時点)。

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