「おじさんの多い定食屋さん」は信用できるワケ。おいしいお店にはある“意外な共通点”とは

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2024年10月26日 09:20  女子SPA!

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女子SPA!

ブルドック(大井町)
 ランチタイムにおいしいごはんを心ゆくまで味わいたい――。そんな希望を叶えてくれるお店に定食屋さんがありますが、女性ひとりだったりするとなかなか入りにくいもの。

 そこで、書籍『そこに定食屋があるかぎり』で魅力的な定食屋を紹介している作家・エッセイストの大平一枝さんに、定食屋巡りの魅力や、お店探しのコツ、初めて行くお店への入り方などを伺いました。

◆安くておいしくてたっぷりなのは、営業努力のたまもの

――大平さんはなぜ定食屋さんに魅かれるのでしょうか。

大平「おいしいものが食べられて、元気になれるからなんですけど、高い満足感が得られるというのも大きいですね。私は量が少ないとイヤなんです。せっかく料理がおいしくても、ちょっとしか量がないとガッカリしてしまう。おいしいものを満足するまで食べられるのが、定食屋さんのいいところだと思います」

――おいしくて量も多いって、それだけでいいお店な気がします。

大平「実際、安くておいしくて満足感のある定食を出すお店って、独自の営業努力をしてるんですよね。お魚にしても、昔からの信頼関係がある市場の仲買人さんがいて、いい食材を特別な価格で卸してもらっていたりする。それって、長い歴史があるからできていることなんですけど、若い定食屋さんの中にも、築地でアルバイトをして市場の人たちと関係性を作ってからお店を出したという人もいます」

◆おいしい味噌汁や山盛りの千切りキャベツも“いい定食”のポイント

――なるほど。ボリューム感のある定食を出すお店は、その時点でいい定食屋さんである可能性が高いんですね。では、ボリューム以外に、“いい定食”としてどんなポイントをチェックすることが多いですか?

大平「まずは味噌汁を見ます。定食屋さんに来たお客さんはたいてい味噌汁から手をつけますけど、その味噌汁がダメだとほかも期待できないじゃないですか。具だくさんのおいしい味噌汁かどうかは大事ですね。あとは、野菜の種類が豊富でたっぷりとれること、キャベツの千切りがしっかり山盛りで、自家製の漬物がついていること。ドレッシングも自家製だとなおいいですね」

――たしかに、メイン以外も手を抜いていないお店は、いいお店な気がします。

大平「メインだとチキンカツやアジフライといったフライ系が多かったりしますが、古い油で揚げていないかは気にしてますね。私の持論ですけど、『サクッとしている』と評判のお店は、いい油を使っていることが多いです。逆に、『重い』『しっとり』『かたい』と言われるのは、古い油を使っているケースがほとんどだと思います」

◆おじさんの多い店は信用できる

――実際に料理を目にする前に、いい定食屋さんかどうかチェックする方法はあったりしますか?

大平「おじさんやおじいさんが多いお店は信用できると思っていて。おじさんってお小遣いが決まっていて、安くておいしいところをよく知っていると思うので、おじさんたちが吸い込まれていくお店は当たりが多いですね。それから、定食屋デビューをする方には、ある程度歴史のあるお店がおすすめです。長く続いているということは、それだけで地域に認められていて、理念もしっかりしているということですから」

――とはいえ、知らない定食屋にひとりで飛び込むのって勇気がいりますよね。「独自のシステムがあったらどうしよう……」といった不安もありますし。

大平「やっぱり女性ひとりだとジロジロ見られることもありますし、初めてのお店は入りにくいものですよね。そんなときは、とにかく知ったかぶりをしないようにしています。最初に『初めてなんですけど、どう頼めばいいか教えてください』って素直に聞くのが一番。私も初めてのお店では注文の仕方やおすすめメニューなどを聞いていますが、店員さんが親切に教えてくれますし、お会計までずっと気にかけてくれたりもしますよ」

――たしかに、ヘンに慣れているフリはしないほうが良さそうですね。

大平「そうすれば、店員さんが味方になってくれますから。常連さんだって、一見さんが困っていたら助けてくれることのほうが多いです。物珍しそうに見られても、イヤな顔をされたことはないので、『女なんか来るなよ』とは誰も思っていないはず」

◆定食屋さん探しで楽しむ、ちょっとした非日常感

――あと、これは偏見なんですけど、ボリューム感のある定食屋さんって「汚いけどうまい店」系のイメージがあって、入りにくかったりします。

大平「お店のドアを開けてみて、本当に気になるようだったら『すいません、間違えました』って言って出てきちゃえばいいと思いますけどね。ただ、『古い』と『汚い』は違うので、つくりは古いけどきれいにしているお店もいっしょくたにしてしまうのはもったいないかな」

――その違いって、パッと見てわかるものなんですか?

大平「床を見ればわかりますよ。ベトベトしてたり、ゴミが落ちていたりするところは、ちょっと衛生的に気になりますよね。逆に、建物やショーケースのサンプルが古かったりするぶんには、味があると思って挑戦してみてほしいです」

――ちなみに、定食屋デビューにおすすめのお店をあげるとしたら、どこがいいでしょうか。

大平「東京だと、駒場東大前にある菱田屋さんですね。定食屋好きには有名な人気店で、定番中の定番なんですけど、ひとり客や女性客も多いので入りやすいと思います」

――そういった有名店をきっかけに、自分なりのお気に入りの定食屋さんを見つけられるようになったら楽しそうですね。

大平「たまたま出かけた先の知らない街で、定食屋さんを見つけて入ってみる。それって、私にとっても非日常感があるんですよ。ちょっとした気持ちの切り替えになるし、おいしい定食に出合えれば満足感も得られる。そういうふうに新しい出合いを楽しんでみるのもいいですよね」

【大平一枝】
作家・エッセイスト。長野県生まれ。 市井の生活者を描くルポルタージュ、 失くしたくないもの・コト・価値観を テーマにしたエッセイを執筆。 連載に「東京の台所2」 (朝日新聞デジタルマガジン&w)など

このニュースに関するつぶやき

  • そのおじさんも、それなりの授業料と時間を使ってそういう店を開拓してるんだけどね。若い娘がわんさか押し寄せなければ歓迎な人がほとんどと思う。(笑)
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