セブン&アイ・ホールディングスが、カナダのコンビニエンスストア大手アリマンタシォン・クシュタールによる買収提案への対抗策として、経営陣による自社買収(MBO)の検討に入った。セブン&アイはこれまで買収回避を狙って企業価値を高める改革案を示してきたが、市場などから十分な評価を得られたとは言いがたい。同社がMBOに傾いたのは、改革案が株価上昇につながらず、不発に終わった焦りもあるもようだ。
アリマンタシォンがセブン&アイに提案している買収額は7兆円規模。これに対し、12日のセブン&アイ株の時価総額は5兆円台後半で、アリマンタシォンが強引に動けば飲み込まれてしまう恐れがある。
株価を何とか引き上げたいセブン&アイは10月、不振のスーパー事業などを切り離し、コンビニに注力する改革案を発表。井阪隆一社長は「グループ構造の最適化をスピードを持って着実に実行していく」と訴えたが、それでも株価は大きく動かず、時価総額は伸び悩んでいた。
一方、検討中のMBOについても、資金調達や買収後の同社の姿など、不透明な部分はまだ多い。13日にはMBOの報道を受けて株価が急伸したものの、アリマンタシォンが提案額をつり上げる可能性もあり、買収阻止の決定打となるかは見通せない。