大阪の保護猫シェルター「Happy Tabby Room」には、さまざまな過去を持つ猫たちが暮らしています。その中でも、特に印象的な瞳でこちらを見つめるのが、推定2歳の若いオス猫「レッドくん」です。彼がシェルターにたどり着くまでの道のりは、厳しいものでした。
苦境を乗り越えて
レッドくんは、もともと外で生まれ育った猫でした。兄妹や他の仲間と一緒に、ある方からご飯をもらいながら、厳しい外の環境で懸命に生きてきました。
しかし、その方は猫たちに避妊去勢手術を施さなかったため、猫の数がどんどん増えてしまい、ご近所から苦情が寄せられるように。苦情を受けたその方は一部の猫たちを一時的に家の中に入れましたが、慣れない室内にパニックを起こす猫たちは、暴れたりマーキングをしたりと、ますます手に負えなくなってしまいました。
結果として、猫たちは身動きもできないような小さなケージに1匹ずつ入れられ、過ごすことになりました。
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定期的にケージから出して世話をしていたとのことですが、実際のところは不明で、レッドくんたちは狭い空間に閉じ込められた状態で過ごす日々が続きました。
しかし、偶然にもTNR(Trap, Neuter, Return)活動をしていた個人ボランティアとその方が繋がりを持つことになり、猫たちが不適切な環境で過ごしていることが発覚。時間をかけた説得の末、2024年6月にレッドくんを含む7匹の猫たちは無事に「Happy Tabby Room」で保護されることとなりました。
名前の由来—虹色の一員として
猫の名前には、保護された7匹それぞれに虹の色が込められています。
赤い色の名を持つレッドくんは、虹の中で一際目立つ存在として新たな未来に向かっています。その名には、これから彼が安心できる家族と出会い、心の中の曇りを晴らし、虹のように明るい日々を送ってほしいという願いが込められています。
慎重で臆病なレッドくん
7匹の中で、レッドくんは特に人に対して臆病で怖がりな子です。保護された当初は、人の気配だけで身を縮め、目が合うだけで「シャー」と威嚇していました。
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ケージの中で毛布にくるまり、外の世界に怯えた様子を見せていたのです。それでも、保護から数か月が経つにつれ、彼は少しずつ環境に慣れてきました。兄妹たちと広々としたお部屋でのんびりと過ごす中で、安心できる時間も増え、最近ではゴロンと寝転がるリラックスした姿を見せることも。
しかし、まだ人の手には敏感で、触られることに対して強い警戒心を持っています。
他の猫との相性は良好で、猫同士であればすぐに仲良くできるレッドくん。新しいお家に先住猫さんがいる場合、その猫に頼りながら新しい環境に順応していけるかもしれません。
ゆっくりと時間をかけて信頼を築いてくれる里親様へ
レッドくんは、まだまだ人への警戒心が強く、そっと見守りながら心の壁を溶かしていく必要があります。スタッフたちは、彼のペースを尊重し、ゆっくりと時間をかけて信頼を築いてくれるご家族に出会えることを願っています。たくさんの猫が寄り添うレッドくんにとって、先住猫さんがいるご家庭はきっと心強い存在になることでしょう。
大阪の「Happy Tabby Room」で、今もそっと誰かに心を開ける日を待っているレッドくん。虹色の名前にふさわしい、明るく穏やかな日々が訪れますように。
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(まいどなニュース特約・渡辺 陽)