◆ 大阪から出場校がなかったのは過去1回のみ…来春の選抜ではどうなる
横浜(関東・神奈川)が松坂大輔を擁した1997年以来、27年ぶり2度目の明治神宮大会優勝を果たした。
25日に行われた高校の部・決勝戦は、横浜と広島商(中国・広島)による伝統校対決。試合を優位に進めたのは後攻の横浜だった。初回に2点を挙げると、2回にも2点を追加し、ペースを掌握した。
ところが広島商は、3回途中から2番手でマウンドに上がった片岡虎士が粘投。横浜打線を封じ込め、流れを引き寄せると、広島商打線は7回に2点、最終回にも1点を奪い、1点差に詰め寄った。しかし、最後は横浜の2番手・奥村頼人の前にあと1点が取れず。初出場の広島商は準優勝に終わった。
この結果、来春の選抜で6枠が割り当てられている「関東・東京」が1枠増の7枠に。関東6・東京1、もしくは関東5・東京2のどちらかになるが、秋季地区大会の戦いぶりから、関東は4強(横浜、健大高崎、浦和実、千葉黎明)に加えて、準々決勝で横浜に0-2で惜敗した東農大二の5校が有力。残り2校は、東京大会の決勝でタイブレークの死闘を演じた二松学舎大付と早実となりそうだ。
もし6枠のままなら東農大二と早実の争いになるとみられていたが、横浜の後押しを受けて関東・東京はほぼ無風となる可能性が高まった。
一方で、優勝校の一角として出場した近畿地区の覇者・東洋大姫路が準決勝で横浜に敗退。6枠のままとなった近畿地区は、難しい選考を強いられそうだ。
まず、関東と同じく近畿も4強(東洋大姫路、智弁和歌山、天理、市和歌山)は“当確”。これに加えて準々決勝で敗れた4校から2校が選出されるとみられるが、市和歌山に0-10でコールド負けを喫した立命館宇治が脱落する。
残り3校で2枠を争うが、1回戦で大阪桐蔭を撃破した県1位・滋賀学園の5枠目が濃厚。そして、県2位の滋賀短大付と大阪3位の大阪学院大高が最後のイスを巡って比較対象となる公算が高い。
滋賀短大付は近畿大会1回戦で履正社に競り勝ったが、準々決勝で天理に1-4で完敗を喫した。一方の大阪学院大高は1回戦で京都の北稜に1-0で辛勝するも、東洋大姫路に0-4と完封負け。2試合合計で1得点とイメージは良くない。ただ大阪学院大高を破った東洋大姫路が強い内容で優勝しており、その点も加味されればチャンスが増すだろう。
さらに、大阪学院大高の追い風となるのが“大阪枠”の存在。過去96回を数える選抜大会で、強豪校ぞろいの大阪から出場校がなかったのは、1927年の第4回大会のみ。ちなみに同大会は出場校8校の少数精鋭だった。
また、2003年の選抜には近大付が選ばれたが、実は前年秋の近畿大会で大阪勢3校はそろって初戦敗退。それでも「忠実にセンター返しを実行している」という理由で、ベスト8校を押し退けて選出された。
ほぼ毎年出場を続けてきた“大阪枠”が存在するとすれば、大阪学院大校が優位にも見えるが、無視できないのが大阪の21世紀枠に推薦された府立市岡である。1901年創立の古豪は、第1回夏の地方大会から皆勤を続けており、話題性も十分。これまで大阪から21世紀枠で出場した高校は皆無で、府立高校を“選抜”するまたとない機会でもある。市岡が“大阪枠”に食い込んでくる可能性は十分あるだろう。
ただ、市岡は来月13日に発表される近畿地区の推薦校に残る必要がある。
来春の選抜は、市岡と大阪学院大高のそろい踏み、どちらか1校、可能性は低いがどちらも選ばれない。この3択とみられるが、どんな結末を迎えるだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)